Mobile:NEWS 2002年8月30日 00:53 AM 更新

処理をコンポーネント化する「Extension」〜QualcommのBREW戦略

2003年第1四半期からの本格展開が待たれるダウンロード型BREW。ワールドワイドな展開をにらんださまざまな仕様が盛り込まれている

 mobidecのセミナーにクアルコムジャパン事業戦略部長の山田純氏が登場、来年にも日本市場で展開されるダウンロード型BREWの仕組みと世界戦略について語った。


クアルコムジャパン事業戦略部長の山田純氏

ダウンロード型ならではの特徴

 さまざまな特徴を持つBREWだが(7月15日の記事参照)、中でも興味深いのは「Extension」の導入だろう。これは、3DグラフィックエンジンやJavaVMといった特定の処理をコンポーネント化し、複数のアプリケーションで共用できるようにダウンロード可能な形にしたもの。

 単体での開発や配信ができ、ユーザーは、例えば同じExtensionを使ったアプリが2つある場合、Extensionは1つあればいい。つまり、保存領域を節約できるのだ。また、公開されたExtensionを使ってアプリの開発ができるため、デベロッパーにとっては開発効率を上げ、コストを低減できるというメリットがある。

 「Extensionのみを展開するというビジネスモデルも成り立つ。既に数社から引き合いがきている」(山田氏)。


Extension型BREWの1つ、エイチアイ3Dエンジン「マスコットカプセルエンジン」。ほかのBREWアプリは、3Dエンジンを実装することなく、このExtensionを使って3D描画できる

 BREWのアプリやExtensionの配信にあたっては、誤って「何の認証も受けない」ままに流通する事態が起こらないような仕組みが導入される。「ウイルス性アプリや悪意のあるアプリが携帯に流通するのを防ぐため」(山田氏)の措置だ。

 開発者は、通信キャリアが運営する配信サーバにアプリを登録する前に、実行ファイルを第三者の認定機関もしくは通信キャリアに提出するという手順を踏むことになる。認定されたソフトには、それを証明する電子署名が付与され、その署名が組み込まれたソフトだけが配信される。

 開発されたアプリが提出されてからサーバ登録に至るまでの期間は、「韓国や米国のケースで、審査に3日、それから配信可能になるまで3日ぐらい」と説明。ただし、日本でどのぐらいの期間になるのかはKDDIが決めることなので、正確には分からないと言うにとどめた。


開発から配信に至るまでの流れ

ワールドワイドな展開に向けて

 2002年6月の時点で世界のCDMAユーザーは1億3000万人。年内には2億5000万人を超えると山田氏は予測する。世界の携帯電話の通信方式は大きく分けるとGSMとCDMAの2つで、QualcommはCDMA陣営と協力して、世界シェア60%のGSM陣営を追う立場だ。問題はどうやって追いつくかだが、山田氏はアプリや端末メーカーが参入する際の判断基準は市場規模だといい、「ワイヤレスデータ時代にはアプリが鍵を握る。データをフル活用できるソフトがたくさん出てくることで状況を変えられる」とみる。そのためにもアプリは限りなく世界共通にしてスケールメリットを出せるようにするべきだと山田氏は強調した。

 BREWが課金の仕組みを備えている点も、課金代行を必ずしも通信キャリアが行うわけではない海外の事情を考えると重要なポイントとなる。代金の回収方法が明確でないことを不安視する開発者が多ければ、アプリ開発が進まず、シェアを伸ばせないからだ。課金はアプリが端末に配信されたことをトリガーとして発生するというモデルで、月額課金、ダウンロードごと課金などさまざまな形態の中から選べる。

 BREWは16カ国16キャリアで展開される予定で、既に韓国、米国でサービスインしている。「ブラジルや東南アジアでもプロモーション活動を展開している」(山田氏)。

 韓国のKTfreetelでは2001年11月からサービスが開始された。現在14種の対応端末があり100万人がBREWを利用。年末までには300万人が見込まれているという。2002年3月には米Verizonが試験サービスを開始、6月には全国展開が始まっている。現在京セラ製とシャープ製の2機種のみの対応端末も、年末に向けて新たに5機種が投入される予定だ。また、中国では「連合通信」(チャイナユニコム)が今年の年末から第1四半期にかけて導入することを発表している。


韓国では対応端末が既に14機種

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[後藤祥子, ITmedia]

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