透明タッチパッド? 触れなくていいタッチパッド? 〜Synapticsが日本進出ノートPC向けタッチパッドで、世界シェア50%以上を誇るSynapticsが日本支社を設立した。3つの新製品は、見慣れたタッチパッドを劇的に変えるかもしれない
「ノートPCのポインティングデバイス」といったら、何の変哲もないトラックパッドを思い浮かべるのではないだろうか。もう既に完成されたデバイスで、コスト競争しか残っていない……。このトラックパッドには、そんなイメージがある。 米Synapticsは、そんな日本のポインティングデバイス市場に新たな技術革新を投入しようとしている。 日本ではあまり知名度がないが、Synapticsはトラックパッド(タッチパッド)の世界的企業だ。ノートPC向けタッチパッドでは世界で50%以上のシェアを持ち、DellやHuwlett-Packard、GatewayやAppleなどが同社のパッドを採用している。ちなみに「TouchPad」という言葉自体、同社の商標なのだという。 日本支社設立に伴い来日した同社ワールドワイドセールス担当副社長のTom Spade氏に、日本市場に投入する3つの新製品について聞いた。
新製品の1つは、透明なタッチパッド「ClearPad」だ。0.5ミリと薄く、ある程度の柔軟性もある。液晶タッチパネル用にも利用を考えているとSpade氏は言う。「携帯電話やPDAに使う場合でも、1層式のため堅牢性が高い」。
タッチパッドなどのセンサには、いくつかの方式がある。抵抗膜方式は一般に感圧型ともいわれPDAのタッチパネルなどによく利用されている。間の空いた2枚の薄膜を使い、押すと膜が接触することで“感知”する。指だけでなくペンなどでも操作できるが、弱点は埃やキズに弱いことだ。 静電式はノートPCのポインティングデバイスとして標準的に使われている方式で、Synapticsが得意とするもの。感圧型に比べて堅牢性が高く、透明にした場合「光の透過性も感圧型が82%程度なのに対し、88%ある」とSpade氏は優位性を語る。
2つ目の新製品は、指紋認証センサ付きタッチパッド「FingerPrint TouchPad」だ。指紋認証には光学式のものも多いが、本製品はやはり静電式を採用。「指が汚れていても認識する。認識率は99.98%」だという。 最大の特徴は、BIOSパスワードからWindowsのログオンまでを1回の指紋認証で済ませられる統合的なソフトウェアソリューションを用意していることだ。指紋の登録ソフトまでパッケージ化され、「OEMメーカーにとって柔軟」(Spade氏)なことが最大のメリットとなる。 タッチパッドの開発企業にとっては、ハードウェアだけでなくソフトウェアの開発が大きなウェイトを占める。有用で簡単に組み込めるドライバやソフトを提供することが、最大の差別化要因となるのだという。
新製品の3つ目は、電磁誘導方式を使ったPDA向けタッチセンサーだ。センサ自体は液晶パネルの裏側に設置し、専用のペンを使って操作を行う。ペンと液晶面の距離も感知することができ、ペンを動かしてフォーカスを動かし、タッチすることで決定する……といった操作も行える。
電磁誘導というと、ソニーの「バイオLX」などに採用されているワコムのタッチパネルが有名。ただしSpiralの方式は、「より小型のデバイスに向いたもの」(Synaptics日本支社のエグゼクティブアドバイザーである石原達夫氏)。ペンもマグネットのみが入った簡素なもので済み、価格は5円程度だという。 単なるデバイスだけではなく、「PDA向けに漢字認識のソフトウェアも用意している」とSpade氏は説明する。 「ノートPCの40%以上は日本の企業が供給している。Synapticsにとって重要な市場。また、ノートPCに限らず、MP3プレーヤーや携帯電話などの市場も見込まれる」と、日本市場への期待を語るSpade氏。タッチパッドの世界的企業の日本進出によって、モバイルデバイスの入力インタフェースがどう変化するのか。新製品を組み込んだデバイスの登場に期待したい。
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