Mobile:NEWS 2002年12月12日 00:54 AM 更新

POBox初のメジャーバージョンアップ〜「SO212i」(2/2)


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使い勝手を考えたダウンロード辞書

 1文字入力すると予測候補が出て、2文字目以降を入力すると候補が絞り込まれていく……。最近、POBox的な予測変換機能を備えた端末は増えているが、作り込みはまだ甘い。2文字、3文字と入力していくと、ほとんど候補が出なくなる。

 POBoxでは、そのあたりも実にうまくできている。「『あ』と入力したときに、ひっかかる候補は相当数あるが、実際に表示させているのはその中の一部」と海老澤氏。頻度の低い候補は、2文字目、3文字目を入力して初めて予測候補として登場するようになっているのだという。

 「何語まで表示させるか、ここのバランスが一番難しくて、数字では表せない」と海老澤氏は言う。

 今回、ダウンロード辞書が追加されたことで、さらに表示順は調整された。

表示順単語
1学習された単語
2ユーザー登録語
3ダウンロード辞書(優先順位順)
4通常の単語
それぞれのダウンロード辞書には優先順位が設定でき、その順番で表示される。ダウンロードした直後ではダウンロード辞書の表示順は下になるが、使った単語は優先的に上に登場する。さらに学習結果は辞書ごとに持っており、その辞書を「オフ」にすれば一時的に学習された単語も出てこなくなる

 この表示順を考えれば、ダウンロード辞書の使い方も見えてくる。「最初に辞書をダウンロードしてしまうと、ダウンロード辞書の単語ばかりが目立つんですが、ある程度使っていくと学習されたものがどんどん上にきます。使っていくうちに馴染んでいくのを狙っています」(海老澤氏)。

 ちなみに、優先順位付けされた20個もの辞書を使っても、SO212iのPOBoxは高速だ。「最初に20個と決めて、そこに合わせ込む形でソフトを作っています。多く登録すると検索が遅くなるなどありますが、それがないようさらなる高速化をやっています。SO504iからさらに手を入れました」(海老澤氏)


メールの本文入力中に辞書フォルダが呼び出せる。「入力中に、ちょっとこの辞書が欲しいな、というニーズに対応できる」(海老澤氏)

今後のPOBoxの進化はどうなるのか

 POBoxというエンジンは、辞書ダウンロードを得たことでさまざまな可能性を手にした。例えば、最近流行の「和英辞書」なども辞書ダウンロードで実現可能な機能の1つだ。

 ダウンロード辞書の中には、便利ツールとして「カタカナ英単語」「和英変換」「外来語」という変わり種の辞書も用意されている。「予測という性質上、お仕着せで候補が表示されてしまうので、ユーザーが『ん?』と疑問に思ってしまう単語は入れられなかった。ダウンロード辞書では、ユーザーが意図して入れたということで、語彙の幅が広がっている」(海老澤氏)

 さらに「付加情報を付けて、辞書を売ることだってできる。フォーマットが公開されれば、そうした商売も成り立つかもしれない」(西野氏)。

 もちろん基本機能を損なわないよう、バランスを取っていくことを開発陣は重視している。特に、“お節介加減”は最も微妙なポイントだ。

 例えば、時間帯によって異なった予測候補を表示する機能も流行っているが、“お節介になってしまう”可能性があるので、検討段階から先に進んでいないという。「お節介加減はすごく気を遣っている。朝になったので、とりあえず『おはよー』(と候補が出てしまうのでは)では、マイナスイメージに働くのではないか」(西野氏)。

 方向の1つは、もっと身近な、個々人ごとにカスタマイズされた辞書だ。「行く末はフォーマットを公開して、辞書を作るプロフェッショナルが勝手に作ってくれれば、それにこしたことはない」と西野氏。

 ともあれPOBoxの魅力が、必要な候補がしっかりと出てきて、かつ行き過ぎない点にあるのは間違いない。海老澤氏は開発の思想として、「新しい機能を入れてカタログに載ればいいかというと、逆。ユーザーが意識せずに使いやすくなっているというのが文字入力はベストなんです」と話す。

 カタログでの扱いよりも実際の使い勝手を重視する姿勢は、SO212iでも変わっていない。「買ったユーザーに満足していただける機能としては、ナンバーワンだと思っている」という海老澤氏の言葉は、一度でもPOBox搭載端末を使った人ならば、間違いなく納得できるだろう。



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[斎藤健二, ITmedia]

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