PIM機能にフォーカスしたFOMA「F2051」〜後編待ち受け時間の向上、iモーションメール対応、Symbian OS搭載──。第2世代FOMAの先陣を切って登場した「F2051」のカメラ機能と操作体系に迫る270度回転する11万画素CCDカメラを搭載した、富士通製の第2世代FOMA「F2051」。多機能化に伴い、操作体系はどのように変化しているのか──。 前編(1月31日の記事参照)でレポートした「ハードウェア」「PIM機能」に続いて、後編では「カメラ機能」と「操作体系」から「F2051」を検証する。
最大30秒の録画も可能になった動画撮影「F2051」の動画撮影機能は、最大データサイズが300Kバイト。最長90秒までの録画が可能で、携帯電話の中では最長の録画時間となる。最高フレームレートも15fpsと高い。 ただし、iモーションメールへの添付は100Kバイトまで。送信できない動画の撮影を防ぐため、最大データサイズを100Kバイトにする設定が用意されている。
100Kバイトを超えた動画データは、データリンクソフトでPCに取り込めるが、閲覧するには今後提供予定のQuickTimeの新バージョンが必要(2002年12月10日の記事参照)。現時点では再生ソフトの提供を待つしかなさそうだ。 高品質で撮影すると15fpsになるようで、かなりなめらかに再生される。しかしQCIF(176×144ピクセル)かつ高圧縮のため画質はそれなり。J-フォンの「ムービー写メール」や、auの「ムービーメール」と比較すれば、送信できるファイルサイズの制限は少ないのだが、圧縮率が極めて高いという点で根本的な相違はない。 動画撮影後の保存にかかる時間は意外と短く、高品質設定で300Kバイト(20秒程度)録画しても、保存に要する時間は10秒以下だ。少なくとも撮影時間よりはずっと短く、我慢できる範囲だろう。 なお「iモーションメール」をFOMAに送信した場合、添付ファイルとして届くのではなく、「iショット」のように添付ファイルは別途サーバーに保存され、リンク情報が送信先に届く仕組み。「動画を勝手に送りつけられてパケット料金がかさむ」「端末内のメモリがすぐ一杯になる」といったことがないよう、配慮されている。 静止画は最大352×288ピクセルでの撮影が可能だが、有効10万画素では明らかにカメラユニットの力不足。また樽型ゆがみもはっきり出ており、画質も画素数相当のクオリティだ。端末のディスプレイで楽しむレベルだろう。
撮影した静止画はファイル名でのリスト表示のほか、4枚ずつのサムネイル表示に対応している。1画面(4枚)の表示には1秒程度かかり、スクロールはかなり緩慢な印象だ。あまり利用する気にはならないのが正直な感想だろうか。
なお本機に限ったことではないが、依然FOMAから静止画のメールを直接iモード(PDC)に送ることはできない。PDCのiモードメールが添付ファイルをサポートしていないからやむをえないもだが、「iショット」同様ユーザーが意識せずに送れるべきではないだろうか。他キャリアはともかく同じキャリア内のカメラ付き携帯電話に静止画が送れないのは、移行を考えるユーザーをためらわせる要因になりそうだ。
「Symbian OS」のもたらしたものは「F2051」には「Symbian OS」(用語参照)が採用されている。メニューは同社のお手芸とも言える「3Dアイコン」が選択できるなど、一見してこれが「Symbian OS」という印象は受けない。
しかし細かい所では、従来の富士通端末と異なる操作体系や表記も多く、戸惑う部分もある。例えば設定変更などでも、ほかの製品では「OK」「決定」と表記される部分のほとんどが「登録」と記されているのだ。設定作業などでは一瞬躊躇してしまう。もちろんこれが「Symbian OS」の影響かどうかは分からないが、何か必要以上に「日本語化」されている雰囲気がある。
また画像ビューワからの静止画メール送信は、サブメニューから「イメージの利用」-「メール作成」を選択するのだが、このメニューには「メール受信」「メール送信」といった選択肢もある。何かと思えばメール受信時やメール送信時の画面表示に画像を割り付ける機能なのだ。 もちろんマニュアルをきちんと読んでおけばいいのだが、なぜ静止画のメール送信と、静止画の各種イベントへの割り付けが同列なのかは理解に苦しむ。利用頻度が明らかに異なるからだ。そもそも画像一覧時や表示時にはメールキーには何も機能が割り当てられていないのだから、メールキーを押せばメール送信、それでいいと思うのは筆者だけだろうか。
ほかにも本機の傾向としてはっきり言えるのは、メニュー操作を多用させられることだ。例えば静止画撮影と動画撮影の切り替えもメニューから選択する必要があるため、最低でも2度のキー操作(撮影中に「MENU」-「4」)が必要だ。万人向けなのかもしれないが、使いこんでいくほどイライラ感が増す感は否めない。 文字入力も少々癖がある。カナ入力時に該当する数字キーを押すだけでは小文字入力ができず、小文字の入力には必ず「大小」切替キーを利用する。アルファベットの場合には大小を切り替えると、それ以降は保持されるという珍しいタイプだ。 また初期設定では自動カーソルと呼ぶ機能が有効になっており、キー操作に1秒以上間隔が空くと入力した文字を確定する。例えば”う”を入力するために”2”を2回押して間を空けてさらに”2”を押してしまうと”いあ”と文字入力されたことになってしまう。これはNokia製端末などでも採用されている方式で、分かっていれば便利にも使えるが、初期設定で有効なのはどうだろうか。なお、機能を無効にして一般的な方式に設定することは可能だ。 ここで挙げたことのほとんどは「慣れ」で片付く問題だとは思う。しかし、従来端末と比較して違和感がある部分が多いのは事実で、多少なりとも初採用となった「Symbian OS」を本機に搭載するにあたっての詰めの甘さと思われる部分が散見される。また、どうにも操作していて軽快な感じを受けないのも問題だろう。 半面、柔軟性の高いマルチタスク機能は「Symbian OS」の貢献が大きいはずだ。従来のマルチタスク対応のFOMA端末は通話と通信という2つのネットワークの並行利用にほぼ限定されていたが、本機はもっと柔軟で現実的だ。 メール作成中に電卓を起動して計算結果をメールにペーストしたり、メモ代わりに撮影した画像を簡単に呼び出して確認できる。またiモードで検索サイトを利用する場合にも、アドレス帳やスケジュール、メモなどから情報を簡単にペーストして検索条件にできる。PDAやPCでは当たり前にできたことが、やっと携帯電話でも可能になった。
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