ドコモが定額制に踏み出せない理由液晶が回転するFOMAの市販は「来月になると思う」。FOMAの“次”は「2Mbpsはやめて、最初から14.4Mbpsをやろうか?」──。ドコモの津田副社長がNET&COMの講演で、数々の疑問に答えを出した
「スペクトラムに余裕があれば、いつでもやります」──。NTTドコモの津田志郎副社長は2月7日、NET&COM 2003のフォーラムで、定額制についての質問に答えて、こう話した。
津田氏は、「定額制は悩ましいテーマだ。ではなぜ躊躇するのか?」と前置きし、定額制に踏み出せないのは移動体通信が限られた無線の周波数割り当て内でビジネスを行うためだと話した。 PHSではできるのに、携帯ではなぜ? 定額制PHSサービスが好調なAirH"を見て、こう疑問を持つ人も多い。津田氏は、「PHSでできるのは、利用状況とスペクトラムの割り当てに余裕があるから」と説明する。 携帯電話の周波数がギリギリで余裕がないのに比べ、PHS向けの周波数は十分ある。ドコモのPHSでも、一時は210万契約を超えたものの、現在は110万契約(2月7日の記事参照)。少なくとも100万人分の周波数が余っていることになる。
その余った周波数を利用して、この春からドコモはPHSの定額制を開始する予定だ(2002年11月の記事参照)。津田氏は、PHS定額制の詳細には触れなかったが、今後の方向性として「PHSはエリアは拡大せずに留めておく。速度も64Kbpsまでで、これ以上は3Gにバトンタッチしたほうがいい」と話した。 3G──FOMAでは、さらなる高速化を検討している。もともと、FOMAで使われているW-CDMA方式は通信速度が最大2Mbpsとされていた。しかし現状は384Kbpsに留まっており、最近になって、最大14.4Mbpsの速度を持つHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)技術に取り組み始めている(2002年12月の記事参照)。 津田氏は、「2Mbpsの開発をやめて、時間はかかるが最初から14.4Mbpsをやろうか? 今、比較検討している」と高速化の方針について話した。 また、発表済みの液晶が回転するテレビ電話対応FOMA端末「P2102V」については(2002年12月の記事参照)、「来月になると思う」と市場投入が遅れることを示唆。さらに「N2051」「F2051」の新型FOMA2機種の型番に関して、PDCのカメラ付きに使った型番が“51”だから、FOMAのカメラ付きも“51”にした、などのこぼれ話も披露した。
開発をスタートさせている第4世代携帯電話についても、目標を示した(2002年3月の記事参照)。
津田氏が強調したのは、当初の4Gは3Gの補完的な位置づけになることだ。3Gの立ち上げでは、契約者数の下方修正を余儀なくされるなど苦しみが絶えないドコモだが、「3Gから4Gの世代交代は、サービスなどへの影響が少なく済むだろう」と予想する。4Gは「3Gとのバックワードコンパチビリティ(後方互換性)は必須」(津田氏)であるとも。 3Gや4Gのように、利用する周波数帯が上がれば上がるほど電波の減衰率は大きくなり、ビル内や屋内での電波状況が苦しくなる。PHSでは自営網/固定網にシームレスに接続できる仕組みが用意されていたが、4Gでもそうした仕組みを考慮する必要があると説明。さらにデータ通信速度の高速化などによって、「(3Gや4Gでは)屋内での利用が高まるのではないか。ビル内対策は2Gよりももっと必要だろう」と話した。
「Mzone」の名前で展開している公衆無線LANサービス(2002年6月の記事参照)については、「単独の無線LNA事業者と競争しようとは思っていない」と、あくまでFOMAなどを補完する位置づけであることを強調。 音声通話は満足してもらえているが、「データ通信はスピードなどを見ても今一歩」(津田氏)なのが、携帯電話の問題だという認識だ。4Gなどの登場で高速通信も可能になるが、それには時間を要すため、無線LANに取り組んでいるという。 そのため、FOMAなどとのシームレスサービスの実現に注力。「NTTグループであろうとなかろうと、事業者間のローミングもぜひ実現していきたい」と、今後の方向性を話した。
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