厚さ1ミリに5チップを積層〜Intel、512Mのフラッシュ携帯電話が進化を重ねる中で、デバイスメーカーは“さらに小さく”“さらに高性能”な部品を要求される。Intelは、5枚のチップを重ねても1ミリ程度の厚みにしかならない超薄型スタックドCSP技術を発表した
インテルは、4月10日のIDF Japan(インテル デベロッパ・フォーラム)で携帯電話向けの薄型フラッシュメモリを発表した。超薄型メモリチップを最大5枚積層するスタックドCSP技術を使い、厚さを1ミリ程度に抑える。 これにより、フラッシュメモリ容量が合計で512Mビットの製品を年内に、合計1Gビットとなる製品を来年提供する予定。フラッシュメモリ以外に、SRAMやPSRAM(疑似SRAM)、ロジックチップも積層可能で、価格は組み合わせによって異なる。
米Intelで、フラッシュメモリのゼネラルマネージャーを務める、Darin G.Billerbeck副社長に話を聞いた。 チップの積層──スタック技術が注目されるのは、携帯電話の小型・薄型化に対する要求が強いからだ。ひとつひとつのチップをパッケージに納めると大きさも面積も必要となるが、これらを積み重ねて1つのパッケージに納めることで面積を減らせる。さらに、今回の新スタック技術で、厚みも減らすことができる。 「CSPの5チップが1.2ミリ、4チップが1ミリ、3チップが1ミリ以下で、非常に薄型になっています。薄型にするためにはウェハ自体が薄くならなければいけないし、有機ラミネートの物質もベースレイヤーも薄くならなくてはいけません」。 「携帯電話自体も非常に薄く、小型化していきますので、それに付随してデバイスのほうも小型化していかなくてはならなりません。今後もどんどん薄型化していきます」。
Billerbeck氏が講演で公開した、携帯向け各チップのサイズ。複数のチップを重ねていくことで、容量を増やしても面積が増えないことが分かる
2004年にはベースレイヤーにテープ素材を使い、さらに薄型化を果たす 今回のスタック技術では、どんなチップでも重ねられるのでしょうか。 「すべてが薄型になるわけではありません。そのためにはチップにも基盤にもトリックが必要になってきます。薄型スタックで利用するチップでは、既にウエハが折曲がるほどに薄くなっていて、これ自体も難しい技術です。フラッシュとRAMについては既に薄型化が実現されています」。 面積を減少させるだけでなく、組み合わせるチップを自由に選べるのもスタックの利点だ。Billerbeck氏は、標準型が使われる場合もあるが、ほとんどのスタックチップはカスタム品だと話す。メモリ容量を自由に選べ、異なったチップを1つにまとめられるのがメーカーがスタックを選択する理由の1つのようだ。 「携帯電話のフラッシュ密度は、日本が一番高いと言われています。しかし容量の範囲はすごく広くて、3Gの場合は新しいモデルでは512Mビット。2.5Gの場合は128−196Mビットや256Mビットというものもあり、すごく守備範囲が広い」。 「加えて、RAMでは、SRAMもあればPSRAMもありLP(LowPower)SDRAMもあります。すべてのメーカーは3つを混在させて高密度のものを作っています」。 Intelは柔軟性の高いスタックパッケージをハイエンド端末向けに、メモリ容量が固定されてしまうアプリケーションチップとメモリ、通信システムの統合型「PXA800F」をミドルレンジ端末向けに位置づけている。Intelの製品は、携帯電話の半導体部品の多くをカバーしてきているわけだが、例えばPCでいうCentrinoのように、携帯電話部品のシステムをブランドとしてアピールしていく予定はあるのだろうか。 「まだ、今のところは計画はありません。一番いいブランディング──認知度を上げるためには、すべての携帯、すべてのPDAに製品を入れていただいて、(性能を)実感していただくのがベスト。現在のところ計画はありませんが、常に新たな見直しはかけています」。
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