Mobile:NEWS 2003年5月15日 07:09 PM 更新

「sigmarion III」、ソフトはどう変わったのか(2/2)


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大きく変更されたPIM関連

 sigmarion IIIには、先代までのPocketOutlookではなくサードパーティ製の「GEMini-PIMS」が搭載された。もちろんActiveSyncを介してPCのOutlookとデータの同期を行える。

 「GEMini-PIMS」の使い勝手は概ね良好だ。予定表では月単位一覧でも予定内容がポップアップ表示可能になり、連絡先は一覧と詳細を同時に表示させられる。仕事(ToDo)も一覧と詳細を同時に表示でき、本日の予定も表示可能など画面情報量の大きさが生かされている。


予定表は月単位一覧でも表題がポップアップし、画面を切り替えずに内容を確認できる。仕事では一覧のまま詳細内容が確認できるとともに、本日の予定も同時に表示できる。

 メーラーは、先代に搭載された「MPメール」に代わってWindows CE.NET標準の受信トレイが採用された。フォルダ一覧と受信メール一覧を同時に表示させられるが、本文は単独表示であるなど画面大きさを生かしきれていない印象だ。PCのOutlookと同期できるのは便利だが、自動振り分けなどもサポートせずメーリングリストを大量に受信するユーザーなどは、ほかのメーラーが欲しくなりそうだ。


メーラーはHPC2000標準のものと大きく変わっていない。任意のフォルダ追加はできるが、自動振り分け機能はなく、本文の表示も別画面となる。

ソフトウェアはインストーラの対応待ち多し

 本製品はCPUにARMアーキテクチャのPXA255を採用しており、OSであるWindows CE.NETもHPC2000やHPC3.0に対して原則上位互換となっている。比較的クリティカルと思われる画面キャプチャソフトの「CaptXP」なども問題なく動作するなど、これまでのハンドヘルドPCのソフトウェア資産はそれほど問題なく引き継げそうだ。

 問題なのはインストーラ。インストーラを持ったソフトの多くがsigmarion IIIを「未知のOS」として判断してしまうため、ActiveSync経由でもsigmarion III直接でもインストールが行えない。理屈からいえばStrongARM用のバイナリでハンドヘルド用のソフトウェアであれば動きそうなものなのだが、そういうわけでもないようだ。


インストーラを利用するとARM対応、HPC2000対応のソフトでも本機が「未知のOS」と認識され、インストールできない

例えばIRCクライアントの「ちゃっとCE」もその1つ。筆者はPocket PCでも愛用しており、個人的にはこれがないとモバイル通信端末として用を成さない。そこでPCでファイルを取り出し、連番のファイルから実行ファイルらしきファイルの拡張子を「.exe」に変更、SDカードから直接起動してみたところ問題なく動作した。またインストーラなしのtelnetソフトである「24term」は画面の左上のみを使う形で利用できた。


「ちゃっとCE」もPCでCABファイルから実行ファイルを取り出すことで利用できた。これ以外に「24term」も画面が一部(640×240ピクセル)しか利用されないが、この点を除けば問題なく動作した

 ftpクライアントの「ceFTP」「cedarftp」は実行時にエラーが発生して使えなかった。これは両ソフトともWindows CE.NETに対応しているわけではないので仕方がない。

 sigmarion IIIは初代からOS、CPU、付属アプリケーションともに変更されており、先代や先々代ユーザーがそのまま乗り換えるには注意が必要になる。WindowsCEベース製品の魅力の1つであるフリーソフトの正式対応も今しばらく待たねばならないだろうし、対応されないものも出てくるだろう。

 もっとも800×480ピクセルに拡大されTFT化されたディスプレイと、タッチタイプも不可能ではないキーボードの組み合わせはモバイル通信端末としてはとても魅力的で、PIMとしての使い勝手も改良されている。「PocketExcel」「MPメール」が省かれたことが気にならないなら、従来モデルから乗り換えはぐっと快適なものになるだろう。



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関連リンク
▼ ニュースリリース
▼ sigmarion III製品ページ

[坪山博貴, ITmedia]

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