Mobile:NEWS 2003年6月24日 12:55 PM 更新

NTTドコモの対米戦略を待ち受ける「茨の道」(1/2)

ドコモ米法人の小野伸治社長は米CeBIT Americaでの講演で、日本でのi-modeの事例や普及の兆しを見せるFOMAを紹介。その「米国版」の素晴らしさをアピールした。しかし、携帯電話に対する日米の認識は大きく異なる、その溝を乗り越えない限り、ドコモの対米戦略を待つのは「茨の道」だろう。

 先週、ニューヨークで行われたCeBIT America最終日、最後の基調講演者として登壇したNTTドコモ米国法人、NTT DoCoMo USAの小野伸治社長が、同社3G戦略の進捗状況やi-modeとi-modeに関連するカメラ、ビデオなどのアプリケーション環境などを紹介した。

 同氏は「W-CDMAはユーザー体験を拡張すると共に、通話、通信のコストを低減することもできる」と強調。来年からサービス開始を予定しているAT&T WirelessによるW-CDMAサービスに向け、NTTドコモ発の技術とアプリケーションについて、自分たちを「携帯電話インターネット市場のパイオニア」(小野氏)とアピールした。


P2102Vを手にする米NTTドコモ小野伸治社長

i-modeによる事例で携帯電話分野の可能性を紹介

 小野氏はまずi-modeサービスの歴史と概要から話を始めた。i-modeは米国でも業界内なら知らない者はいないものの、一般的なビジネスマンにまでは浸透していない。昨年の春に開始された米国版i-modeであるmModeの装着率は、サービスを提供しているAT&T Wirelessが販売する端末の1〜2%程度に過ぎない。携帯電話を用いたインターネットアクセスサービスそのものの認知度が低い米国では、(日本国内における)i-mode成功事例のすべてが“まだこれからの分野”である。

 小野氏はi-mode成功の要因を四つ挙げた。一つはパケットによる安価な通信インフラを使ったこと。もう一つは魅力的な端末を開発したこと。IPとHTMLを基にしたスタンダードベースの規格としたこと(それにより非公式のサイトをコンテンツとして取り込める)。そして最も強調したのが、i-modeコンテンツ提供者にビジネスモデルを提供することで、雪ダルマ式にバリューを増やすWin-Winモデルを実践できたことである。

 これらの話、それに写真送信サービスのi-Shot、少額決済サービスのCmode、ユーザープロファイルを基にした効率的な広告モデルの確立、ビジネス向け情報端末としての応用例、携帯電話を用いたクーポン券配布など、日本でよく知られたi-modeの成功事例を列挙。130万画素カメラ内蔵のSO505iや富士通の指紋認証機能付き端末などの話が続く。

 われわれにとって馴染みのある成功事例を挙げる小野氏だが、おそらく最も伝えたかったのはi-modeの事例ではなく、ようやく普及の兆しを見せている3Gネットワークの状況についてだろう。

品質向上のコストダウンの両立が3Gのメリット

 小野氏はi-modeに引き続いて、NTTドコモがFOMAで採用しているW-CDMAが未来の技術ではなく、すでに普及に向けて「離陸」できる段階にあることを日本の状況を示しながら米国の聴衆にアピールした。

 日本でも伝えられているように、FOMAユーザーはP2102Vの発売を契機に3月に30万を突破。首都圏における人口カバー率は、PDC立ち上げ時の2倍以上のペースで向上させた。駅やショッピングセンターなどの屋内向け基地局の設置数も、急激に増え、来年以降にはPDCと同等レベルにまで増加する予定。

 このようにFOMA立ち上げが成功した背景として、消費電力低減によりバッテリー持続時間が長くなってきたこと、端末自身が魅力的なものになってきたことに加え、小野氏は通信の品質が向上しつつ、コスト低減を実現していることを挙げた。

 NTTドコモは当初、FOMA立ち上げ時に通信帯域増加に伴い、広がった帯域幅を活用してマルチメディアコミュニケーションが行えることをアピールした。しかし、CDMA技術採用の本質的なメリットは、帯域幅の拡大ではなく電波利用効率の向上、すなわちビット当たりコストの低減にあるとの指摘がサービス開始からあった。

 NTTドコモもここ半年ほどは、国内でも料金の安さを売り物にするマーケティング手法にシフトしてきている。元々、データ通信の料金はPDCよりも低く設定されていたが、通話料金が安くなったことで、3G本来のメリットをユーザーが享受可能になってきている。「顧客により良いサービスを“低価格に”提供している点がFOMAの長所」(小野氏)

データトラフィック増加が携帯電話会社生き残りのカギ

 続いて小野氏はNTTドコモの長期的な戦略について話した。

[本田雅一, ITmedia]

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