Symbian OS、そして「Series 60」とは何か(2/2)
Symbian OSで少々ややこしいのは、OSとユーザーインタフェース(UI)が切り離されていることだ。WindowsやMac OSとは違い、Symbian OSには複数のUIが用意されている。
中でも最も大きなシェアを持つのが、Nokiaの「Series 60」というUIだ。「Nokia 7650」で初めて搭載されたこのUIは、他社にライセンスされているのが大きな特徴。 Series 60は、Java VMなどのミドルウェアとUI、そしてドキュメントなどで構成される。ライセンスはソースコードという形で提供され、改変も可能だ。
アプリケーションの互換性というメリットを享受すべく、複数のメーカーがSeries 60のライセンスを受けて製品を投入する予定 Siemens(SX1)とSamsung(SGH-D700)が既にSeries 60搭載端末を発表しており、パナソニック・モバイルもライセンスを発表している(2002年7月の記事参照)。Nokia自身も、「Nokia 3650」「Nokia 6600」「Nokia N-Gage」でSeries 60を採用した。 実際のところ、アプリケーションソフトウェアの互換性には画面サイズが重要。Symbian OSと合わせてSeries 60を採用することで、互換性が圧倒的に高まる。 「スマートフォンの中で、70%のシェアをSeries 60が取るだろう」とノキアモバイルソフトウェア アライアンス・アーキテクトの小林潔氏。Series 60を採用した端末は、2003年末までに1000万台を出荷する予定。Series 60向けのアプリケーションも、既に500以上が登録されているという。 Series 60には複数のバージョンがあり、Symbian OS 6.1sに対応するのがSeries 60 v1.0−1.2、Symbian OS 7.0sに対応するのがSeries 60 v2.0となる。v2.0では、Java VMのミドルウェアがMIDP2.0をサポートするほか、UIテーマが設定可能。SyncMLも利用できるようになっている。
ワールドワイドで標準的なOS+UIの地位を固めようとしているSymbian OS+Series 60。しかし日本国内での展開は、今のところ富士通がFOMAでSymbian OS+独自UIを採用したに留まっている。 理由の1つは解像度にありそうだ。スマートフォンに分類されるドコモの「505iシリーズ」や、J-フォンの「J-SH53」などは、軒並みディスプレイの解像度をQVGA(240×320)まで上げてきている。Series 60が低解像度を保つ限り、Symbian OSは搭載してもSeries 60の採用は難しい。 NOKIAのSeries 60アライアンスパートナーディレクターのジェラルド・ブルーエン氏はQVGA対応も考えていると話すが、Series 60全体の戦略は「ハイエンドからミドルレンジへ」だ。日本以外ではまだカラーディスプレイが普及してきたばかり。まずは海外での普及価格帯の端末にSymbian+Series 60の搭載を目指す。
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