キャリアを経由しない機能が携帯電話に載る時代に多機能化が進む携帯電話。今後トレンドの技術がどのように携帯電話に搭載され、どんな方向に進化するのか──。NECの中村常務が今後の携帯電話の方向性を分析した。
NECの中村勉常務がWIRELESS JAPAN 2003のカンファレンスに登場、携帯電話の進化の方向性について話した。話題の技術がどのように取り入れられようとしているのかに言及したものだ。
端末の高速化に伴い、携帯電話にさまざまな機能が搭載されるようになった。サービスやコンテンツ面では、2.5Gの電子決済や位置情報、音楽配信といったものから3Gのテレビ電話や動画配信へとリッチなものになりつつある。 注意すべきなのは、移動体網を使わなくてもできる機能が携帯に搭載され始めた点だと中村氏。デジタルカメラやメディアプレイヤー、先に対応端末が披露されたテレビ受信(7月10日の記事参照)やゲームなどがそれだ。時間を知るのに腕時計ではなく携帯電話を使う人が30%に上るという調査結果をを挙げ、業界への影響が出てくる可能性があると指摘した。「携帯電話というビジネスの内容が変わりつつあるのではないか」。
「カメラ付き携帯電話の比率が非常に増えている。伸びが鈍化する気配がなく、まだ伸びるだろう」と中村氏はカメラ付き携帯電話の市場を分析。「2003年には200万画素も出てくるという日経の調査結果があるが、それをどう使うかが今後の課題」
携帯電話の重さを決定する3つの要素となるのが、バッテリーと回路、筐体。回路は高集積化や高密度化、筐体は低比重かや高強度化によって小型軽量化が図られているという。 バッテリーについては燃料電池(6月9日の記事参照)が移動体機器向けに、わりと早期に適用されるだろうと予測する。「リチウムイオンの約10倍のエネルギー密度を持っている上、充電の必要がない」。小型軽量化のトレンドを満たすと見ている。
「RFID(用語参照)はタグが携帯電話に付くのではなく、リーダ/ライタのほうが搭載されるのでは」と中村氏。タグは駅のポスターなどに付いていて、それを携帯で読み取らせると、広告情報などが出る──といった使い方が当初は出てくるだろうと言う。「利用者の意見などを聞きながら、早期にサービスとしてリリースしていきたい」
3.5世代といわれる通信方式「HSDPA」(3月31日の記事参照)は、既に実験が開始され、「ほぼ10Mバイト以上の高速伝送が可能なことが実証されつつある」 弱点は伝送路の状態が悪いと使いづらいことと、符号化率の面で合うあまり訂正能力が少ないことだという。この仕組みは広域の公衆網ではなく、限られた領域でのサービスが便利なため、その特性を生かしたサービスが出てくることが考えられるようだ。
携帯電話のユニットの中でも、通信系ユニットは比較的安定しているのに対し、アプリケーションユニットはどんどん発展している。NECでは、それぞれの分野で得意な人がどんどん開発できる環境が業界全体の発展につながると考え、通信ユニットとアプリユニットのCPUを分ける「2CPUアーキテクチャ」を提唱している。アプリ側のOSにはLinuxを採用するという。
関連記事 携帯にデジタルTV搭載〜NECが開発 ついに携帯電話にテレビ受像器が載った。NECが技術開発した試作機は、W-CDMA端末内にアンテナやチューナなどを内蔵し、連続1時間のTV視聴が可能になっている。 燃料電池【ねんりょうでんち】 自動車向けとしてより、ノートPCや携帯電話向けの“夢の電池”として開発が急速に進む燃料電池。今回は燃料電池の現状について解説する RFタグ【あーるえふたぐ】 小型・バッテリーレスなどの特徴から携帯電話との相性もいいといわれる非接触IC。中でもRFタグはバーコードの代替用途に期待が寄せられている 高速版W-CDMA「HSDPA」とは何か 次世代のW-CDMAとして、高速パケット通信「HSDPA」という言葉がしばしば出てくるようになった。海外でHSDPAのデモを行ったノキアにHSDPA、およびW-CDMAとUMTSの違いなどを聞いた [後藤祥子, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |