Mobile:NEWS 2003年8月19日 09:36 PM 更新

Vodafoneへの道〜J-フォンロードマップ

J-フォンがメールやWebも利用できる3Gサービスを、ついに開始する。ブランドやサービス名もボーダフォンに変更し、名実共にボーダフォン体制での3G展開となる。これまでのVodafoneのあらましと、J-フォンのボーダフォン化への道程をまとめた。

 J-フォンがVodafoneへと姿を変えようとしている。大きな変化は今年後半だ。何が変わり、何が残るのか。

着々とVodafoneへ

 Vodafoneとは、英国に本社を持つ世界最大の携帯電話会社だ(用語参照)。英国(約1300万)、ドイツ(約2300万)、イタリア(約1500万)、スペイン(約900万)、米国(約1500万)、日本(約970万)など28カ国のキャリアに出資、9カ国のキャリアと提携関係にある(契約者数は出資比率換算)。その契約者数は、出資比率換算ベースで合計約1億1971万にも上る。

 VodafoneとJ-フォンのつながりは古い。当時、J-フォンと日本テレコムは、米国の移動体電話会社AirTouchから出資を受けていたが、1999年1月、VodafoneがAirTouchを買収するに伴い(1999年1月の記事参照)、Vodafoneとの関係が始まる。その後、2001年にはVodafoneは米AT&TやJR2社から日本テレコムの株式を取得(2001年2月の記事参照)、2001年9月には公開買い付けを開始し経営権を握った(2001年9月の記事参照)。

 同年12月には、J-フォンはVodafoneグループを強調した新ロゴに切り替えた(2001年12月の記事参照)。このころから、着々とVodafone化が進み始める。Vodafoneは買収した企業の名称を“Vodafone”に変更させて、国際ブランドを維持する場合がある。例えばドイツ最大手のVodafone D2は、買収前はMannesmann AGという会社だった(2000年2月の記事参照)。

ロゴ変更2001年12月
Vodafoneへブランド名移行10月1日
J-スカイがボーダフォンライブ!に10月1日
サービス名もボーダフォンを冠す10月1日
メールアドレスドメイン名変更11月中旬
これまでに発表されたVodafoneへの変更項目と変更時期

 J-フォンは、ブランドへの全面移行を見据えて、次第にVodafoneロゴの利用を増やしてきた。端末のロゴも、現在は「Vodafone」になっている。

10月1日、ブランド名変更。メールアドレス変更には注意

 10月1日は、ひとつの区切りとなる。J-フォンブランドが全面的にVodafoneブランドに切り替わるからだ。コーポレートロゴも変更され、J-フォンショップもVodafoneショップに変わる。J-スカイサービスもボーダフォンライブ!となる。余談だが、J-スカイ向けにコンテンツを提供しているプロバイダには、「J-」という名称を使わぬようJ-フォンから要請がきており、対応に苦慮しているという。

 同じく10月1日のスタートを目指しているのが、3G向けボーダフォンライブ!だ(8月18日の記事参照)。昨年12月に開始した3Gサービスは、音声通話が中心でメールもWeb閲覧も行えなかった。ユーザーにとっては、この10月が真の3Gサービス開始ともいえるだろう。

 J-フォンによると、7月末での3Gサービスエリアは人口カバー率で89.5%。3G向けボーダフォンライブ!開始時には95%以上を目指している。FOMAの人口カバー率は93%なので、いかにJ-フォンが急速にエリアを拡大してきたかがわかる。ただしドコモのFOMAの例を見れば分かるように、3Gのエリア展開度合いは人口カバー率だけで計ることはできず、屋内や地下街への対応が急務だ。この点はFOMAのほうが先行している。

 1点、魅力的なのは他社に先駆けて国際データローミングを実現すること。auのGLOBAL PASSPORT端末でも海外の通話は可能だが、メールの送受信やWeb閲覧には対応していない。送受信とも1通最低100円という料金面での課題はあるが、海外でも写メールできるようになるのは大きな進歩といえるだろう。

 気になる3G端末は、現在のところ三洋電機製の「V801SA」の投入が発表されているのみ(8月18日の記事参照)。メールやWebなど3Gならではのサービスを使うには、従来の端末ユーザーは買い換えの必要がある。ただし、JATEなどの認証機関には、VGS端末と見られる三菱電機製「V301D」やシャープ製「V401SH」の名前も挙がっており、本格展開に合わせて多くのメーカーの参入が予想される。

 多少の混乱が予想されるのは、11月中旬に予定されているメールアドレスのドメイン変更だ(7月15日の記事参照)。

 従来の「jp-X」ドメインから「X.vodafone」ドメインに変更になり(Xは6種類のアルファベット)、併用できる期間は2004年10月末まで。1年の猶予はあるが、アドレス帳に登録してあるJ-フォンユーザーのメールアドレスをすべて変更することになる。また、電話番号を使ったメールアドレスを使っているユーザーは強制的に異なるアドレスに変更させられるのにも注意が必要だ。

※8月20日、旧アドレスの併用期間が無期限延長されることが発表された(8月20日の記事参照)。J-フォンでは旧メールアドレス宛のメールの利用状況を見て廃止時期を決めるとしている



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関連リンク
▼ J-フォン
▼ Vodafone

[斎藤健二, ITmedia]

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