Mobile:NEWS 2003年10月2日 04:12 PM 更新

携帯電話でデジタルラジオを〜KDDIが実証実験

KDDIとエフエム東京は、地上デジタル音声放送と携帯電話との連携サービスに向けた実証実験を行う。楽曲ダウンロードを放送で提供し、認証と課金を通信で行うなどの技術検証を2004年2月から開始する。

 エフエム東京とKDDIは10月2日、地上デジタル音声放送(デジタルラジオ)と携帯電話を連携させたサービスの実証実験を来年2月から行うと発表した。

 音声だけでなく、楽曲ダウンロードやラジオショッピング、アンケート応募などのサービスを音声と合わせて放送できる3セグメント放送を使い、通信との連携について技術的な課題を調べる。


試験端末のモックアップ。市販のPDAにCFカード型のAirH"端末を差して通信を行えるようにしている。12月までにこの大きさのデジタルラジオチューナーを開発し、Pocket PC 2003上で動くソフトウェアを使って試験を行う

 ラジオで楽曲が流れている間に、放送局のURLやアンケート応募などのフォームが表示され、携帯やPHSの通信を使って双方向サービスを行う。楽曲のダウンロードデータは放送で送信でき、その際のユーザー認証と課金は、通信で行うことを想定している。「通信経由で認証・課金を行い、放送でダウンロード。失敗したら通信でダウンロードする」

 「いきなり携帯に搭載するのは技術的なハードルが高い」(KDDI技術開発本部の猪澤伸悟次長)ため、試験端末にはPDAを使う。将来は携帯電話との一体型も検討しており、通信モジュールとの一体化も視野に入れている。放送と通信を連携させたカーナビや携帯電話を、最終的に目指す。


中央に静止画、または動画が流れ、下部にはアンケート内容、ショッピングや楽曲ダウンロードなどデータ放送が表示される。アンケート送信やショッピング、楽曲ダウンロード時の認証などの上り回線は、通信を使って行う。

デジタル化の恩恵大きい“ラジオ”

 開始が12月に迫った地上デジタルテレビ放送の陰で、デジタルラジオ放送の準備が着実に進んでいる。一週間後の10月10日には、東京と大阪で実用化試験放送がスタート。VHFの7チャンネルを八つのセグメントに分割して、6つの事業者が放送を行う。


1セグメントを使う事業者と複数セグメントを使う事業者の2種類がある。複数セグメントを使うことで、“ラジオ”とはいっても、動画を配信したり、データダウンロードなども提供できるようになる

 1セグメントは330Kbpsの帯域幅があり、CDクオリティ(144Kbps程度を指すようだ)の音楽や、静止画、文字データを流すことができる。

 面白いのは、今回KDDIらが実験を行う3セグメント放送だ。TOKYO FM、ニッポン放送、ジャパンエフエムネットワーク(JFNC)の3社が「Digital Radio 98 The Voice」の呼称でサービスを提供する。

 3セグメント(990Kbps相当)使うことで、動画やデータダウンロードも提供できる。しかし、現在のラジオ受信機と同じような普通の受信機では、こうしたサービスを活用できない。3セグメント放送であることのメリットを最大限に生かすためには、「通信が前提となる」(エフエム東京)わけだ。

 ちなみに、動画(The Voiceではビットレート256Kbps程度を想定している)も流せるということで、“ラジオ”とは言っても、広くマルチメディアコンテンツに対応できる。ただしデジタルテレビと競合するのではなく、「狙っているのは、アナログラジオ放送の後継としての“ながら”放送」だとエフエム東京の園城博康常務は話す。

 UHF帯を利用するデジタルテレビ放送は、帯域を空けるアナアナ変換(2000年12月の記事参照)が必要になるが、VHF帯を使うデジタルラジオではその必要もない。デジタル放送の特徴の一つである高品質な放送も、テレビは制作に高価な機材が必要だが、ラジオならば容易に作成できる。

 こういった理由から、「実はデジタルテレビよりもラジオのほうが、意外に伸びるのではないか」と見る関係者も多い。



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関連リンク
▼ TOKYO FM
▼ KDDI
▼ KDDI ニュースリリース

[ITmedia]

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