Mobile:NEWS 2003年10月8日 01:20 AM 更新

東芝、手の平サイズの燃料電池を展示

東芝は、小型機器向けにDMFCタイプの燃料電池を開発、展示した。25ccの燃料で約20時間発電できる。ただし機器直結は想定しておらず、“あくまで充電器”という位置づけ。

 東芝はCEATEC JAPAN 2003で、モバイル機器と接続して使う小型の燃料電池を展示している。卵形で重さは130グラム。DMFC型で25ccの燃料を使い、1ワットの出力で約20時間発電できる。担当者は、「携帯電話用のリチウムイオン電池6本分に相当する」と説明した。


薄型ではなく卵形なのはポンプの効率を上げるため。補器を使わずにメタノールを気化させる簡素なパッシブ型に比べて形状の自由度は下がるが、発電効率は上がるという。オレンジ色の部分が燃料部

 方式としては、ノートPC向けに開発したシステム(3月14日の記事参照)を元に小型化したものだ。内蔵したポンプを使い燃料を希釈させる方式で、補器が必要になる代わりに高濃度の燃料を利用できるというメリットがある。

 基本的に、燃料電池は複数のセルを積み重ねることで出力ワット数を増す。10ワット程度の出力を持つPC向けから単にセルを減らしただけではなく、「システムを1Wに特化させた。ポンプの送液量などが最適化されている」(東芝)。

「あくまで充電器」〜パワーマネジメントと出力

 東芝のDMFC(直接形メタノール燃料電池。Direct Methanol Fuel Cell)は、PDA、PCに続き今回の小型機器向けとターゲットの幅を広げてきた。

 ただし「今回のモデルはあくまで充電器」だと東芝は話す。

 燃料電池からの電流で直接機器を動かす場合、上下する電流に対応する必要がある。例えばPCでは、静止時は付加電流が小さいが、動画処理時は付加電流が増大する。従来のリチウムイオン電池を燃料電池で置き換えるには、付加電流の変化に対応しなくてはならない。同社がCeBITで公開したPC直結型の燃料電池では、このパワーマネジメントが開発のポイントだった。今回の小型機器向け燃料電池では、単純に一定の電流を流し続ける。

 もう一つの問題は出力だ。最大負荷を想定した場合、ノートPCで12ワット、PDAで5ワット、携帯電話でも2ワット程度の出力が必要になるという。ただし、リチウムイオン電池の充電に限っていえば1Wで可能。「充電はカバーできる」ことから、このサイズの試作機を開発したという。


PDA向けの燃料電池とノートPC直結型の燃料電池。会場では、ノートPC向けも展示されており、実際に動作している



関連記事
▼ 東芝、小型機器向け燃料電池を開発〜CEATECに出展
東芝は、携帯電話やPDAなどとつないで使える、手のひらサイズの燃料電池を開発した。1Wの出力が可能で重さ130グラム。10月7日から開催されるCEATECに参考出展される。

▼ 「燃料電池」実用化に不可欠なメタノールの高効率利用――“希釈する”東芝と“透過させない”日立
燃料電池で高いエネルギー密度を実現するためには、高濃度のメタノールは不可欠。だが、濃度が高いメタノールは電解質膜を素通りしてしまう。燃料電池の実用化に欠かせないメタノールの高効率利用について、東芝と日立製作所の開発者が語った

▼ 燃料電池、「まずはノートPCに」の“なぜ?”
次世代のモバイル機器向け電源として期待の小型燃料電池(マイクロFC)。国内の大手電機メーカー各社は、“まずはノートPCから”燃料電池搭載を予定している。だが、ノートPCが果たして燃料電池の最適アプリケーションなのだろうか

▼ 東芝、ノートPC直結の燃料電池をデモ、駆動中の燃料交換も
ダイレクトメタノール型の燃料電池をノートPCに直結して駆動させる──。東芝のブースでは、燃料電池でLibrettoが動き続けていた

▼ 東芝、ノートPC直結の燃料電池を開発
東芝は3月5日、ノートPC用小型メタノール燃料電池を開発したと発表した。従来のリチウムイオン充電池の代替としてノートPCに直結するタイプは世界初だとしている。

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!