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2003年11月13日　07:21 PM 更新

200万画素カメラは市場をけん引できない？

100万画素のカメラ付き携帯が市場を引っ張り、好調に推移している日本の携帯電話市場。IDCの木村融人アナリストは端末コストの面から、200万画素のカメラ付き携帯が市場を喚起するのは難しいという見方を示した。

　カメラ付き携帯電話のラインアップが増え、出荷台数が好調に推移している日本の携帯電話市場。はたして2004年度にはどのような動きが出てくるのだろう──。IDCのシニアマーケットアナリスト、木村融人氏がMobile & Wireless Worldの講演で、携帯電話市場の未来を占った。

200万画素カメラの市場けん引は難しい？

　「2003年は、31万画素から100万画素への高画素化が市場をけん引した」と木村氏。2003年末には200万画素端末が出るなど、さらなる高画素化が進むが、「（30万画素から）100万画素への移行と同様に需要を喚起できるかといえば、コスト面から難しいのでは」と見る。

　IDCの調査によれば、ハイエンドPDCの主要コンポーネントコストは、日本の場合2万円以上。高画素なカメラの搭載は、それに伴う高精細ディスプレイやメモリの追加など、コスト高の要素につながる。「100万画素から200万画素への高画素化は単純計算しても、コストが3000円−5000円はね上がる。これにズーム機構も加えるとなると、主要コンポーネントのコストは1万円分ぐらい、軽く上乗せされる」。

GSM端末3種とハイエンドPDCの主要部品コストの比較（R&D費用は除く）

　しかしコストがかさむからといって“200万画素搭載だから5万円”にするわけにもいかず、キャリア側のコスト負担が増えると木村氏は予想。「ユーザーが望む形での端末提供にキャリアは腰が引けるのではないか」。コストと収益のトレードオフを考えると、200万画素端末が100万画素と同じように市場を牽引できるとは考えにくいという見方を示した。

2004年度、FOMAの契約者数は1000万に近づく

　2004年度にはFOMAがスポットを浴びると木村氏。たしかにこのところFOMAの契約は順調に推移（11月10日の記事参照）、ドコモは2003年度末の目標契約数を上方修正している（10月30日の記事参照）。

　ドコモは来年初旬にも、PDCを上回る機能を備えたFOMAを5〜6機種投入する予定。2003年にPDC端末を途切れなく投入、ユーザーの関心をひきつけ続けたように、FOMAでもラインアップ戦略を展開すれば、需要はある程度広がると見る。

　また木村氏は、NECやパナソニック モバイルコミュニケーションズなど、日本のトップベンダーがFOMAに生産をシフトしているのも大きな理由だと説明。「完全シフトの方向に向かっているように映る。生産計画も強気なほうに向かっているように見える」。ドコモもFOMAにシフトする姿勢を明確にしており、「通信速度の速さや安さ、PDC並みの端末価格、魅力的な端末のラインアップといった要素を押さえて売る戦略をとれば、ユーザーにもメリットが受け入れられる」とした。

　こうした状況から木村氏は、個人的な判断としながらも「2004年度には1000万近くまで伸びるのではないか。大化けすればそれ以上の需要になりうる可能性も秘めている」と予測する。

　W-CDMAベースのFOMAは海外でも勝負できるモデル。2004年度に足固めができれば、「2005年度にはキャリアやメーカーがこぞって海外にチャレンジする構図が見えてくる。FOMAに関しては視界がよくなってきている」と、2004年が3G時代の幕開けになることを示唆した。

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[後藤祥子, ITmedia]

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