Mobile:NEWS 2003年11月21日 00:11 AM 更新

「パケットパックを付けると角肉ですよ」

「売れぬなら、安くしてしまえ、このFOMA」というわけではないだろうが、FOMAが売れている背景には505iより1万円は安いという価格設定がある。でも、安くするだけでは芸がない。オプションにはオプションで対応するのだ。

 近くのドコモショップに入って驚いた。新規契約・機種変更するとラーメン無料券プレゼント。さらにFOMA契約者で、

  • ゆうゆうコールをつけると“味付けたまご”
  • ワールドウイングをつけると“めんたいこ”
  • パケットパックをつけると“角肉”
  • 家族割をつけると“替え玉”(これはウソ)

 のサービスが付く。「FOMAにオプションをつけるとラーメンにもオプションがつきますよ、お兄さん!」

 もちろんここは全部入りである。ゆうゆうコールもワールドウイングもパケットパックもまとめて載せてみた。FOMAを買いに来たのか、ラーメンを食べにきたのか分からないけれど、なかなか“おいしい”。

 いままで“とにかく価格で勝負!”というお店が多かったが、最近のドコモはさまざまなオプションで値引きをするようになってきた。「『ホームページ見ました』の一言で1000円オフ」というのは、ここは何のお店? と思ったけど。

 一律の価格競争からオプションプランによる割引に変わってきたのは、もちろんドコモのインセンティブ(コミッション)に対する姿勢が変わってきたからだろう。

 「ターゲットを絞った割引施策などを引き続き展開し、手数料の効率化を実施」とドコモ資料にある。つまり、一律に値段を割り引くのではなくて、若者(若者割引)だとかシニア(シニア割引)、FOMAユーザー(パケットパック割引)に絞った割引に変えていきましょう、ということだ。

 だから、店頭表示価格で見るとドコモの端末は高いと思うが、実際に購入するさいには各種割引によって相当安くなる。先日、筆者が某店でFOMAに機種変更したときなどは、店頭価格は2万数千円だったが、若者割引(−5000円)、ペア割引(−5000円)、ワールドウイング、パケットパック、デュアルネットワーク、ファミリー割引などを組み合わせた結果、ついに3000円に。レジでたまたま隣り合わせた女の子と(いつの間にか)即席ペアにもなっていたようだ(これってアリなんでしょうか? ショップさん)。

 もちろん条件が合えば……なのだが、いったいあの店頭価格はなんだったのだろう。しかも購入時にオプションに加入していればOKで、翌日にオプションを外しても問題ないのだそうだ。

 インセンティブ、おそるべし……である。

 この仕組みによって「安く買えるのはいいことだ」と思いがちだけど、実は税金と一緒で全員がその費用を負担していることを忘れてはいけない。インセンティブがなければ通話料金は今よりもっともっと安くなる(2月6日の記事参照)。そして、このことで不公平感を感じることもある。

 それは、ものを大事にするユーザーほど、損をする──ということ。インセンティブの仕組みは、「機種変更の時にはキャリアが3万円ほど補助しましょう。だから4〜5カ月かけて、それを通話料という形で返してね」というものだ。レンタル代金を毎月払っているような感じである。そしてだいたい10カ月が経過すると、また補助を受ける権利が与えられる。

 だから2年も3年も、「この携帯はまだ使えるから……」とものを大事にするユーザーは、ずっとレンタル料金を払っているようなことになる。本来10カ月ごとにもらえるはずの3万円をもらえないのだ。

 “携帯のリサイクル”が叫ばれ初めて久しいけど(3月31日の記事参照)、こういうインセンティブの仕組みがある限り、「10カ月ごとに買い換えないと、なんとなく損」と考えても、仕方がないことではないだろうか。こうして昨年の新機種が、あっというまにリサイクル候補になっていくのである。

 マジメに考えていくと、けっこうギスギスしたインセンティブの仕組みだが、料金値引きじゃなくてラーメンオプションなのは、微笑ましくていい。もちろん、これでもドコモは規定のコミッションを出しているのだろうけど。

 ちなみに、このラーメン無料券は、「あるドコモショップ」だけの施策で、どのドコモショップでもやっているわけではないので、念のため。



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[斎藤健二, ITmedia]

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