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2003年12月26日 00:41 AM 更新
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BREW プログラミング入門(最終回)
携帯電話で動かしてみよう(2/2)
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BREWの悩み
今回は連載の最終回ということで、BREWのうらみつらみをつらつらと書きたいと思います。
インターフェイスの管理がめんどくさいんですけどぉ
インターフェイスの解放を忘れたら大変。ちゃんと解放するように管理しないと。めんどくさいなー。C++を使えば楽になるけど。
どっちかの文字列に決めてよね
charとAECHARとニ種類あるけど、どっちかに統一してくれないのかな。文字列の変換ってめんどくさいのよねぇ。これも C++を使えばどうってことないけど。
もっとゆっくりさせてよ!
イベント処理の時間制限があるし、シングル スレッドしかないし、BREWってどうしてそんなにせわしないの?
IGraphics でもテキスト描画したいよねぇ
なんで IDisplay と IGraphics に分けてあんのさ。IDisplay ってテキスト描画以外に用事ないのよねぇ。アッシー君ってとこかしら。
機種依存が多いんでは?
あまり知られていないんだけど、細かい機種依存があるって話だよぉ……
コントロールって難しーい
連載では説明してないけど、BREWにはユーザーインタフェースのためのコントロールがあるの。だけどそれを使うのはとっても難しーい。もっと簡単にUI作れないの?(C++を使うともっと便利にできるかも!)
ドキュメントしっかり書いてよ!
ドキュメントにときどき間違いがあるし、リファレンスもちょっと不親切だし。もう少し分かりやすく書いてくれないのかしら。
最後に
合計10回にわたってBREWプログラミングの入門的な記事を連載してきましたが、いかがだったでしょうか。本連載で習得した知識があれば、あとは「BREW APIリファレンス」などで断片的な知識を集めるだけで、より深くBREWを理解できるようになると思います。
BREWは携帯電話プラットフォームとして大きな可能性を秘めていますので、今後の動向にも期待しましょう。
※今回の記事のソースコードは、ソフィア・クレイドル のサイトからダウンロードできます。
著者紹介 倉谷智尋:ソフィア・クレイドル研究開発部チーフサイエンティスト。ソフィア・クレイドルは、2002年2月京都市にて、無限の可能性を秘めたソフトウェア職人たちが楽しく集い、自ずと自己実現が達成される場になることを目指して創業。在籍スタッフの平均年齢は20代前半と若いが、その大半がプログラミング歴10年以上とそのプロフェッショナリティは極めて濃い集団である。
これまでにBREW用アプリケーションフレームワーク、ケータイJavaプログラム圧縮技術、ケータイJavaブラウザ技術、ケータイメッセンジャー技術などを総合的に研究開発し、「高品質な共通プラットフォーム」の実現を目指してきた。
ご感想、ご質問はこちらzdnet-contact@s-cradle.comまで。
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本連載を終えるにあたって 〜BREWの先にあるもの〜
最近の次世代携帯電話に関してそのソフトウェア技術の動向を探ると、BREW以外ではSymbian OSやLinux OSなどといった汎用OSが、携帯電話のOSとして標準採用されていく流れにあるように思われます。
昔々、PCがBASIC言語のインタフェースから、MS-DOSのような汎用OSが搭載されだした時のことを思い起こすことが、この業界でビジネスチャンスをつかむためのヒントになると思われてなりません。
MS-DOSにより、PCもプラットフォームが広くオープン化され、アプリケーションソフトウェアも、PCに組み込まれるべきソフトウェアもその境界線がなくなり、C言語によるソフトウェア開発が一気に普及し、数々の有益で高度なアプリケーションソフトウェアが生まれ、利用されました。結果として、昨今のようにPCのソフトウェア業界が大きく発展しました。
今、次世代携帯電話向けソフトウェア業界は、このような大きな荒波を迎えている寸前にあるのだと、私たちはみています。これまでの携帯電話向けのソフトウェアは、ゲームや待ち受けなどのようにコンテンツ的なアプリはJavaで開発され、電話帳やスケジューラのような携帯電話に必須のアプリは組み込みOS向けのアプリということで、明確にその境界線が分かれていました。
しかし、BREWやSymbian OS、Linux OSといった汎用OSによって、この境界線はなくなり、オープン化され、さまざまな有益なアプリケーションが今後、C/C++言語をベースとして開発されていくことになると予測しています。
その意味において、私たちは、BREWプログラミングを通じて習得した技術は、単に米QualcommのBREWというプラットフォームだけに依存するものではないと位置付けています。C/C++言語をベースとした新しいアプリケーションの開発のため、しかも組み込み系アプリとかコンテンツ系アプリなどといった“境界線”が全て消滅し、BREWに留まらず、Symbian OS、Linux OSなどすべての汎用OS的なプラットフォームに転用できるプログラミング技術である、という新しい展望が生じてくると考えています。
読者の皆様には、10回にわたる長期の連載にも関わらず、最後まで読んでくださったことを感謝します。
ソフィア・クレイドル
代表取締役社長
杉山和徳
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