Mobile&Movie 第94回
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作品名 | ジョゼと虎と魚たち |
監督 | 犬童一心 |
制作年・製作国 | 2003年日本作品 |
福岡県出身の恒夫は、大阪で一人暮らしをしている大学生。バイトと恋に明け暮れる、明るく楽しい学生生活を送っていました。ある日、バイト先の麻雀屋に行くと、“謎の老婆”の話題で盛り上がっていました。そのお婆さんは人通りの少ない明け方に、乳母車を押して歩いているらしいのです。その乳母車には何が乗っているのか……。常連客はさまざまな推理をしていました。大金、麻薬、ミイラ、勝手な憶測が飛び交う中、恒夫は麻雀屋の店長に犬の散歩を頼まれます。
夜明け前の街をのんびりと歩く恒夫の前に、いきなり現われた乳母車。坂道を猛スピードで駆け下りてくる乳母車とお婆さんの叫び声に、恒夫は驚きます。そう、まさに麻雀屋で噂になっていた“謎の老婆”に遭遇してしまったのです。恒夫は乳母車の中身を確かめようと、おそるおそる近付きました。覗き込んだ途端にいきなり包丁を振りかざされ恒夫は慌てますが、中にいたのは小柄な女の子でした。
少女はお婆さんの孫で足が不自由で歩けないこと、そしてお婆さんは孫にねだられて早朝散歩に連れて行っているという、謎の真相を知ったのでした。乳母車を引いて戻ったお婆さんの家で、恒夫は朝食をご馳走になります。あまりのおいしさにお代わりまでしてしまう恒夫。名前を尋ねると
「ジョゼ」
と少女は答えます。それは、少女の好きなフランソワーズ・サガンの小説の登場人物名。恒夫は本名ではないと知りながら、ジョゼと呼ぶことにします。
不思議な出会いから、なんとなく気が付くとジョゼのもとを訪ねるようになった恒夫。最初はジョゼの手料理目当てでしたが、勝気な態度と雑な言葉遣いの合間に見え隠れするジョゼの女の子らしさにも、どんどん惹かれていったのでした。
同時にクラスメイトの香苗からも積極的にアプローチされていましたが、ジョゼを喜ばせたいという気持ちの方が強いことに気付いた恒夫。そしてジョゼも、恒夫の優しさに恋していたのでした。しかし、恒夫の思いやりを同情と感じたジョゼは、素直な言葉は口にできず
「帰れ! 帰れ!」
と叫んでしまいます。そんなジョゼを
「ずっと一緒にいよう」
と抱きしめた恒夫。ジョゼと寄りそい合って、生きていくことを誓います。甘く濃密な時間を重ねて、このまま一生そばにいられると信じた二人。恒夫は、福岡の実家にジョゼを連れて帰ろうとします。
ジョゼを生まれて初めての旅行に連れて行き、喜ぶ顔が見たいと思ったのです。ジョゼのあまりに無邪気な笑顔を見ているうちに、だんだん恒夫は怖くなってしまいました。ふいに携帯電話を取り出して、弟の隆司に連絡します。
「やっぱり仕事で帰れなくなった」
「仕事ならしょうがないんじゃない」
恒夫の心の裏側を、隆司は見抜きます。
「兄ちゃん、ひるんだと?」
電話越しの隆司の言葉が、恒夫を現実に引き戻したのでした。家族のもとにジョゼを連れて行くこと──。それは恒夫にとって、この恋が現実の重みを感じさせることなのでした。綿菓子のような恋は、足の不自由な彼女と一生を添い遂げるという厳しさに押し潰されてしまいます。せつない儚いラブストーリーの行方をどうか最後まで見届けて、心に刻み込んでください。
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