インタビュー

「1カ月分が1週間で売れた」 モトローラの「moto g7」シリーズが好調の理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)

モトローラの新たなSIMロックフリースマホ「moto g7」シリーズが好調に売れているという。ダニー・アダモポウロス社長は、「1カ月分が1週間で売れた」と話す。moto g7シリーズがユーザーに評価された理由、キャリア参入、FeliCa、5Gも含めた戦略を聞いた。

ライセンス料を払ってまでFeliCaを載せるつもりはない

―― MVNOの伸びが鈍化していますが、何か影響はありますか。

アダモポウロス氏 過去半年ぐらいを見てみると、季節要因はありますが、SIMフリースマートフォンの市場は、増えているわけでもなければ、減っているわけでもありません。さまざまな販売チャネルの方々とお話すると、2万円から4万円ぐらいまでの端末が売れ筋という認識です。キャリアの分離プランもある中、今後は、端末の“素の値段”がより見えやすくなってきますが、この価格帯のSIMフリー端末が、さらに求められるようになってくるでしょう。

―― この価格帯のスマートフォンを、大手キャリアから発売するというお考えはありますか。

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アダモポウロス氏 キャリアのお客さまとは、常にお話を続けています。今週も、2社を訪問したばかりです。お客さまが売りやすいものを持っていかなければならないという認識で、おっしゃったように、(今後は)中価格帯の端末を提案していくことが大事になります。それが、もっと受け入れられるようになるのではないかと考えています。

―― 日本の大手キャリアから出ている端末は、ミドルレンジモデルでもFeliCaに対応したものが多くあります。SIMフリー市場を見ても、シェアを伸ばしているシャープがFeliCaに対応していますが、モトローラとしてはいかがでしょうか。

アダモポウロス氏 シャープが強いのは、国産ブランドだからであって、FeliCaよりもそこが大きいと考えています。ユーザーのロイヤリティー(忠誠心)があるからです。一方で、FeliCaを実際に使っている人は、2割ぐらいだと思います。以前、moto modsでやろうとしたとき、検討はしてみたのですが、ライセンス代がかなりの負担になってしまうことが分かりました。NFCだと2ドル、3ドル程度で済みますが、FeliCaだと1台1万円の上乗せになってしまうんです。そこまでして、どうしてもFeliCaを乗せようとは考えていません。使わない8割の人にとっては、お金がかかりすぎるのはよくないですからね。

―― 逆に言えば、コストが下がれば可能ということでしょうか。

アダモポウロス氏 そうなってほしいと願っています。NFC並みにコストが下がれば、現実的になります。付け加えると、モトローラも過去にはキャリアモデルでFeliCaを搭載したこともあり、要求されることの概略は分かっていて、その経験もあります。

SIMフリーのユーザーは“値ごろ感”を求めている

―― moto g7シリーズとほぼ同タイミングで、海外で「moto z4」が発表されました。こちらについてはいかがですか。


海外で販売されている「moto z4」

アダモポウロス氏 現時点では「moto z4 play」がまだまだ売れているので、導入するかどうかはポートフォリオを見ながら検討していきます。

―― moto g7シリーズもそうですが、グローバルとのタイムラグがある気がします。これは、もう少し縮められないのでしょうか。

アダモポウロス氏 製品のライフサイクルを見ると、昨年のmoto g6シリーズも、発売は6月でした。一昨年(2017年)は3月と10月でしたが、そういう意味では、年2回製品を出しています。moto g7については、先行した地域で需要が非常に多かったという事情もあります。日本以外のマーケットで需要が跳ね上がり、生産が追い付きませんでした。日本でしっかりと安定供給ができるよう、インフラが整うのを待っていた部分もあります。

 うれしい話ですが、どこの地域でもmoto g7シリーズは発売から好調です。例えば、オーストラリアでは4月末に発売しましたが、3カ月分が2週間で売り切れてしまいました。日本でも品切れ状態にならないよう、毎日生産管理をしています。

―― 各拠点で奪い合いになっているということですね。

アダモポウロス氏 ご想像の通りで、奪い合いになっていますが、毎日楽しく戦っています(笑)。

―― 先ほどmoto z4のお話をしましたが、ハイエンドモデルについてはどうお考えですか。

アダモポウロス氏 ポートフォリオの中から何を導入するかは、常に考えていますが、価格が高いものをSIMフリー市場に持ってくるのは果たして得策なのか。SIMフリースマートフォンのユーザーは、それよりも値ごろ感があるものをお求めになっているようにも見えます。ハイエンドモデルについては、キャリアで出すなど、パートナーを精査していく必要があります。ただし、それができないというわけではなく、モトローラは、それがやれるブランドだと思っています。

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