中国で5Gサービスが正式開始 予約だけで1000万人突破、月額約2000円から:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
11月1日、中国で5Gサービスを正式に開始した。3Gと4Gの開始では他国に大きな後れを取った中国だったが、5Gでは世界の5G技術をけん引するだろう。中国では既存の3社と新規参入1社の合計4社が5G免許を取得しており、HuaweiやSamsungが5Gスマートフォンも投入している。
2019年11月1日、中国の通信事業者3社が5Gサービスを正式に開始した。3Gと4Gの開始では他国に大きな後れを取った中国だったが、5Gでは先行開始グループの一員として世界の5G技術をけん引する一国となるだろう。
【訂正:2019年11月9日18時41分 初出時に、中国での5Gサービス開始日を「10月31日」としていましたが、正しくは「11月1日」です。おわびして訂正致します。】
料金は約2000円/月で30GBから、データ単価は4Gより割安
中国では既存の3社と新規参入1社の合計4社が5G免許を取得している。11月1日から5Gサービスを開始したのはChina Mobile(チャイナモバイル、中国移動)、China Telecom(チャイナテレコム、中国電信)、China Unicom(チャイナユニコム、中国聯通)の既存3社。料金プランは5G時代にふさわしく最低プランのデータ通信利用分は30GBと、ストリーミング放送やクラウドゲームの利用にも対応できるものが提供されている。
3社の料金はほぼ横並びだ。China Mobileの例を見ると個人向けの最低プランは128元/月(約1980円)でデータ30GBと音声通話200分、最高プランは598元/月(約9230円)でデータ500GBと音声通話3000分。他に付加サービスなどが利用できる。複数SIMでデータや音声通話を共有できる家族プランも別途用意されている。
GBあたりの単価は最低プランが4.3元(約70円)/GB、最高プランが1.2元(約12円)/GBとなる。China Mobileの4Gプランと比較すると、1例としてデータ専用238元/月で50GBのプランがあるが、データ単価は4.76元/GBだ。また音声+データプランでは5Gとほぼ同じ588元/月プランがあるが、データ利用分は150GBと、5Gの598元プランの500MBよりはるかに少ない。5Gのデータ通信単価は4Gより安くなっていることが分かる。
上記の無料利用分を超えた分は5元(約80円)/1GBとなり、課金が15元(すなわち3GB超過)以降は3元(約50円)/1GBとなる。さらに1カ月間に超過分が500元(約7720円)すなわち1458GBに到達するとデータ通信は一時的に停止され、停止処理を解除すると継続して利用できる。5G通信はついつい大容量のデータを流してしまいがちだろうから、この対応は利用者に安心感を与えるものだろう。
一方で、4Gには38元/月で1GBや88元/月で6GBのように、100元を切る低価格プランもある。Wi-Fi運用がメインのユーザーならこれでも十分なのだろう。5Gにはこのような低価格なプランはないが、5Gを使うようなユーザーなら数十GBの無料利用データ分は必要だろうから、最低プランが4Gより割高になる点については利用者側も受け入れるだろう。もちろん5Gが普及する数年後には今の4Gの料金レベルまで基本料金は引き下がり、さらに無料データ分もかなり増えているはずだ。
スマートフォンは早くも9機種登場、話題の折りたたみ型も追って発売
スマートフォンも5Gサービス開始に合わせ9機種が提供される。内訳はHuaweiが2機種、Vivoが2機種、Samsung Electronicsが2機種、ZTEが1機種、Xiaomiが1機種、そしてChina Mobileの自社ブランド製品が1機種だ。大手メーカーの中では欧州などに「Reno 5G」を出しているOPPOの姿が見えないが、追って対応製品を出すものと思われる。OnePlusやNubia、Lenovoなど、既に5Gスマートフォンを中国の展示会などで披露しているメーカーも参入するだろう。
5Gスマートフォンの単体価格はSamsungの「Galaxy Note10+ 5G」が7999元(約12万2940円)、Huaweiの「Mate 20 X 5G」が6199元(約9万5280円)、Vivoの「NEX 3」が5698元(約8万7580円)と、他モデルよりやや高めの設定だ。後は5000元を切る価格設定になっており、ZTEのAxon 10 Pro 5Gが4999元(約7万6850円)、China Mobileの「先行者X1」が4988元(約7万6680円)、Huawei「Mate 30 5G」が4699元(約7万2230円)、Samsung「Galaxy A90 5G」が4499元(約6万9160円)、Xiaomi「Mi 9 Pro 5G」が3799元(約5万8400円)、Vivo 「iQOO Pro 5G」が3698元(約5万6850円)。一番安いモデルなら6万円以下で買えるのだ。
通信事業者の5G開始を待たずに、既にメーカーの一部は自社の販売店や家電量販店などで5Gスマートフォンを販売している。Huaweiは深センに巨大なフラグシップストアを開業して5Gスマートフォンを目玉製品として販売。Xiaomiは5Gでも低価格モデルでシェア拡大を目指している。また、ここ数年元気のなかったSamsungは5G開始とともに複数モデルで中国国内市場での復活を目指している。
今後はHuaweiとSamsungから折りたたみ型の5Gスマートフォンも登場予定。価格は1万元(約15万円)を超える高価なモデルとなるが、中国の消費者の5Gへの関心を一気に集める主客効果も期待できる。Xiaomiは側面もディスプレイとなり裏側まで画面が回り込んだ特殊な両画面スマホ「Mi MIX Alpha」を19999元(約30万5000円)で発表している。中国の5G端末市場は年末に向けて大きく盛り上がっていくだろう。
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