ハリウッド的殺人事件「ギャヴィラン不動産です」Mobile&Movie 第99回

» 2004年02月06日 20時39分 公開
[本田亜友子,ITmedia]

作品名ハリウッド的殺人事件(HOLLYWOOD HOMICIDE)
監督ロン・シェルトン
制作年・製作国2003年アメリカ作品

 ハリウッドは、ショービジネスの世界を目指す若者が集まる街。巡査から刑事に昇進したばかりのコールデンも、映画俳優になる夢を抱いていました。警察の経験が演技に役立つと信じ、刑事になったからには銀幕の世界さながらの追跡劇を経験したいと思っていました。

 ある日、コールデンにとって願ってもない事件が発生します。人気ラップグループがライブハウスで射殺され、新米のコールデンはベテランのギャヴィラン刑事とコンビを組んで捜査することになったのです。しかしこのギャヴィランは、任務よりも副業の不動産業に勢を出している変わった刑事。聞き込み中でも携帯電話が鳴ると

「ギャヴィラン不動産です」

 と平気で答えて、営業活動しているのです。さらに、殺人事件の重要参考人が新しい住まいを探していると知ると

「実は俺、不動産業をやっているんだ」

 と捜査そっちのけで売り込む始末。ギャヴィランには離婚暦があり、その慰謝料の支払いのため他に収入が必要だったのです。そんなギャヴィランの行動は、警察内部監査の対象となっていて、お金に困った挙句に公金を横領したのではという疑いもかけられていました。不動産の売買も行いつつ、監査官の執拗な追及をかわし、独自の方法で捜査を続けるギャヴィランに、最初はとまどっていたコールデンも、だんだんと尊敬の念を抱くようになります。

 俳優を目指しているコールデンも、実は副業としてヨガのインストラクターをしていました。ヨガの予約の電話が捜査中にかかってくることもしょっちゅう。コールデンの着メロは「ファンキータウン」、ギャヴィランは「マイガール」。これらの曲はエンドロールにもクレジットされていて、作品の中で何度も繰り返し流れます。殺人事件の捜査に完全に行き詰まった時に「マイガール」のメロディがユーモラスに響き、ギャヴィランの恋人ルビーからの電話が、事件解決のヒントを与えてくれたのでした。

 やがて、ギャヴィランとコールデンのコンビは力を合わせて容疑者を追いつめ、コールデンが望んでいたような、迫力のカーチェイスを繰り広げます。その追跡劇の最中にも、ギャヴィランは右手にハンドル、左手に携帯電話を持ち、必死に不動産売買の交渉を続けていました。

「690万ドルで買わないか?!」

 商談成立と同じくして、事件も一気に解決に向かいます。射撃や運転の技術、刑事としての勘も鋭いギャヴィランですが、不動産のセールストークもかなりのもの。それでいて、チーズバーガーに独自の哲学を持っているという、ユニークなギャヴィランのキャラクターが、この作品の魅力になっています。

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