iモードFeliCaの7つの疑問(3/3 ページ)

» 2004年04月15日 19時03分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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auやボーダフォンには?

 これまではドコモの話だが、KDDIやボーダフォンの端末ではFeliCa搭載はあり得るのか。

 13日にJR東日本は、iモードFeliCa向けのモバイルSuicaサービスを2005年後半に開始すると発表した(4月13日の記事参照)。実はKDDIも、“携帯をSuica代わりに使う”検討をJR東日本と進めており(2003年12月12日の記事参照)、動向が気になるところだ。

 KDDIのターゲットはモバイルSuicaや、ぴあの電子チケットだ。「(2005年のモバイルSuicaサービスに)間に合うような形でやっていきたい。これはインフラなので、(ドコモ)1社だけではなく、KDDIも取り組むべき課題」(KDDI)。ボーダフォンも「携帯事業者としては、今後検討しなくてはいけない部分」だと話す。

 前向きな各社だが、進み具合への疑問もある。モバイルSuicaを使うためにはFeliCa機能の搭載が必須となるが、携帯向けのFeliCaの権利はソニーとドコモの合弁会社フェリカネットワークスが握っており、現在のところライセンス先はドコモのみ。KDDIが実機を作って実験を行っていながら、“FeliCa搭載”だと言えないのは、こんなところにも理由がありそうだ。

FeliCa搭載携帯の課題。そして今後の進化は?

 期待が徐々に高まりつつあるFeliCa搭載携帯電話だが、発表当初から指摘されている課題もある。

 ひとつは、電子マネーの互換性だ。現在のFeliCaを使ったカードがそうであるように、iモードFeliCaを使って提供される電子マネーには基本的に互換性はない。Edyにチャージしたお金をSuicaとしては使えないし、逆も同じだ。カードの場合は、それぞれ別のカードだから混乱もないが、1つの携帯に両方の機能が入ると話は違う。「どうして別々にチャージしなくてはいけないのか?」と思う人は多いはずだ。

 プラットフォームとしてFeliCaを考えると、どんな電子マネーシステムを使うかは載せるアプリケーション次第。ドコモとしては、「互換性を持たせたければアプリケーション同士でやってください」ということなのだろう。JR東日本とビットワレットで話し合ってくださいということだ。

 しかしコンシューマ向けのシステムとしては、なぜ? という感も拭えない。ドコモが各社共通で利用できる電子マネーの仕組みを作るという手もあったはずだ。もちろんそうすると、既存の電子マネー提供業者と競合することになる。それを嫌って、土台に徹したということなのだろう。

 端末の強度とアンテナの位置も課題の1つだ。JR東日本はSuicaを「タッチ&GO」と表現しているが、少なくともiモードFeliCaでは「タッチ」すると困る。端末か読み取り機が損傷する恐れがあるからだ(2月26日の記事参照)。

 さらに、端末に埋め込むアンテナの位置も問題。携帯のように内部に電子部品が詰まっていると、FeliCaのアンテナ面を読み取り機に向ける必要がある。Suicaのように「財布に入れたままタッチ」というのは難しそうだ。

 紛失したときの対応も、完璧とは言い難い。FeliCaカードであれば、なくしたときはあきらめるしかない。しかしFeliCa搭載携帯であれば、例えば「電話番号を止めればFeliCa機能も使えなくする」などの工夫ができるはずだ。せっかく通信機能を持っているのだから、それを活用した対策を用意してほしいところだ。

 さて、iモードFeliCaは、既に次の進化ステップが見えている。NFCへの対応だ。

 現状のFeliCaは、読み取り機とセットで動作する。iモードFeliCaの発表会でうたわれたような「携帯同士で電子チケットを相互に受け渡しする」には、FeliCa同士で通信をしなくてはならない。

 これを実現するのがNFC(Near Field Comunication)技術だ(2003年12月8日の記事参照)。簡単にいえば、FeliCaと読み取り機を1つにまとめたもの。FeliCaとしても使えるし、ほかのFeliCaを読み取ることもできる。NFC内蔵携帯同士のデータ通信も可能だ(これは赤外線よりもずっと便利な通信になるだろう)。

 ポスターの裏側にFeliCaチップを張り込んでおき、NFC内蔵携帯で読み取って、受信したWebサイトにアクセスする……なんてことも可能になる。チップが十分に安くなれば、持ち物すべてにチップを張り込んで、携帯で瞬時にその物の情報を読み取るなんてことさえできるはずだ。


 現在のところ、普通のユーザーの反応は「FeliCaって何?」といったところだろう。iモードが初めて登場したときと同じである。しかし、だからこそ、ここに大きなビジネスチャンスがあり、iモードがそうであったように世界を変革していく可能性がある。

 携帯電話へのFeliCa搭載は、まだ試験段階。それでも、これが普及したときのインパクトは想像さえできない。FeliCa搭載携帯は、携帯電話の新しいフロンティアを拓いていけるだろうか。まずはドコモのチャレンジに注目したい。

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