こうしたゲームシステムは、携帯というハードウェアの特性に配慮したものだ。川出氏は「携帯は、PCと比べて低年齢のユーザーも利用する。そうしたユーザーにとって、リアルタイムのコミュニケーションはハードルが高い」と指摘する。
ネットゲームの交流は、時としてかなり密なものになる。「ある程度オトナでないとできない」。
もう1つ、重要なのは携帯電話が“モバイル端末”だということ。このため、家で落ち着いてプレイするというよりは、電車の待ち時間が10分ある、ちょっと遊ぼう……という利用が多いだろうと想定される。
「仮にリアルタイム通信でパーティを組んでしまうと、一通り冒険をこなすまで抜けられないことになる。ボスと戦っているときに、『ちょっと電車が来たんで抜けます』というわけにはいかない」
移動中、電波が入りにくい場所にさしかかることもある。基本は、通信を行わずにローカルで遊べるコンテンツにする必要があるという考えだ。
それでは、パケット定額制でゲームがどう変わるのか。ローカルで遊ぶことを基本としているだけに、たいした変化はないのだろうか?
もちろん、変化はある。通信料を気にせずにすむことで、ユーザーは“通信での楽しみ”が増すからだ。
たとえば、ゲーム内で通信を行う要素として“競売”のシステムがある。各プレイヤーは、どんな武器や防具が出品されているかを閲覧し、気にいったものに“入札”するわけだが、この時パケット通信が発生する。
なかなか落札できないとなれば、何度も入札する必要がある。通信料を気にしていては、競売を楽しめないだろう。逆に、定額制環境のユーザーなら、競売のシステムを思う存分楽しめることになる。
「ほかに通信を行うポイントとして、『学園に出入りする時』がある。この際に、ゲームサーバにいるキャラクターの情報を更新している」
しかし、やはり通信はしたくない、ということで『学園に出入りしても通信を行わない』よう設定しているユーザーもいる。いわば、ゲームの機能を“殺して”いる格好だ。定額制になれば、このような不自由を感じる必要もない。
川出氏は、自らもゲームをプレイするが「1カ月に25日ほどプレイして、パケット代は1000円を超える程度」と話す。もちろん、ヘビーユーザーなら通信料はさらにかさむ。この部分が、定額制でゼロになる。
川出氏はまた、パケ・ホーダイユーザーが増えるようなら、より通信を密に行うゲームシステムも導入できると話す。「まだまだ可能性がある。もっと、通信を利用した追加機能を持たせたい」とした。
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