パケット代10万円使ってこそ「真のファン」?パケット定額制の衝撃/CPの思惑編(2/2 ページ)

» 2004年06月09日 11時41分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 「森田将棋」もまた、通信料がかかるコンテンツだった。森田将棋では、森田和朗氏が開発した思考ルーチンのもと、計算が行われ「次の一手」が選択される。

 計算速度はCPU性能に依存するので、ローカルよりもサーバ側で処理を行った方が“いい手”を割り出せる。森田将棋はローカルで対局することもできるが、通信を行ったほうがコンピュータが強くなる。

 「iモード版森田将棋の強さは、家庭用ゲーム機などとは比べ物にならない。森田氏は思考ルーチンに随時改良を加えているが、これもサーバ側で反映させることができる」(寺田氏)

 とはいえ、通信すればそれに伴うパケット代も発生してくる。かつての森田将棋は、ユーザーに対しパケット代の負担が大きいゲームだったようだ。

 「サービス開始当初は、(アプリではなく)HTMLベースの将棋ゲームだった。つまり、局面はGIFで描かれており、サーバ側でそのURLを送信していた」

 具体的に、1局あたりの料金はどのくらいだったのか。

 「1手指すごとに、8Kバイトの画像プラスもろもろのデータを送受信することになる。手数にもよるので正確には分からないが、1局指すと1000円を超えていた」(柳沢氏)

 その後、iアプリ版森田将棋が登場し、ある程度の処理はローカルで行えるようになる。iアプリ版では、サーバと送受信するデータの容量は1Kバイト以下に抑えている。

 「1局指すごとに、14K〜25Kバイトかかると聞いている。これだと、パケット代もPDCで数十円のレベルだ」(寺田氏)。こちらはかなり通信料のかからないゲームとなったが、パケット定額制なら“ゼロ”になることはいうまでもない。

パケット定額制がもたらすもの

 ミラクルくえすとも、森田将棋も、通信を気にせず楽しめれば魅力は増す。これはユーザーだけでなく、CP側にもメリットをもたらすと寺田氏は話す。

 「ユーザーは選択肢が広がり、見え方としての料金が安くなる、これまで2万円払っていた人が、定額制なら1万円で済むようになる」

 すると、「じゃあ有料コンテンツに10個ぐらい加入してもいいかな」という流れになるのではないか――。寺田氏はそう期待する。パケット料金に費やされていた分が、CPに流れ込むのではという思惑だ。

 同氏はまた、定額制ユーザーが増えることで制作側もリッチコンテンツを提供できると話した。

Photo ミラクルくえすとの戦闘シーン。「リッチコンテンツを作ろうとすると、どうしてもデータは大きくなる」(寺田氏)

(C) HUDSON SOFT

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