「森田将棋」もまた、通信料がかかるコンテンツだった。森田将棋では、森田和朗氏が開発した思考ルーチンのもと、計算が行われ「次の一手」が選択される。
計算速度はCPU性能に依存するので、ローカルよりもサーバ側で処理を行った方が“いい手”を割り出せる。森田将棋はローカルで対局することもできるが、通信を行ったほうがコンピュータが強くなる。
「iモード版森田将棋の強さは、家庭用ゲーム機などとは比べ物にならない。森田氏は思考ルーチンに随時改良を加えているが、これもサーバ側で反映させることができる」(寺田氏)
とはいえ、通信すればそれに伴うパケット代も発生してくる。かつての森田将棋は、ユーザーに対しパケット代の負担が大きいゲームだったようだ。
「サービス開始当初は、(アプリではなく)HTMLベースの将棋ゲームだった。つまり、局面はGIFで描かれており、サーバ側でそのURLを送信していた」
具体的に、1局あたりの料金はどのくらいだったのか。
「1手指すごとに、8Kバイトの画像プラスもろもろのデータを送受信することになる。手数にもよるので正確には分からないが、1局指すと1000円を超えていた」(柳沢氏)
その後、iアプリ版森田将棋が登場し、ある程度の処理はローカルで行えるようになる。iアプリ版では、サーバと送受信するデータの容量は1Kバイト以下に抑えている。
「1局指すごとに、14K〜25Kバイトかかると聞いている。これだと、パケット代もPDCで数十円のレベルだ」(寺田氏)。こちらはかなり通信料のかからないゲームとなったが、パケット定額制なら“ゼロ”になることはいうまでもない。
ミラクルくえすとも、森田将棋も、通信を気にせず楽しめれば魅力は増す。これはユーザーだけでなく、CP側にもメリットをもたらすと寺田氏は話す。
「ユーザーは選択肢が広がり、見え方としての料金が安くなる、これまで2万円払っていた人が、定額制なら1万円で済むようになる」
すると、「じゃあ有料コンテンツに10個ぐらい加入してもいいかな」という流れになるのではないか――。寺田氏はそう期待する。パケット料金に費やされていた分が、CPに流れ込むのではという思惑だ。
同氏はまた、定額制ユーザーが増えることで制作側もリッチコンテンツを提供できると話した。
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