「iモード登場以来の大きな進化」──。6月16日、iモードFeliCaの発表会でiモード企画部長の夏野剛氏は、FeliCa搭載の意義をこう話した。
ドコモが何度か話しているように、携帯電話へのFeliCa搭載は、音声通話用の携帯、ITインフラとしての携帯に続く、第3の大きな進化となる。夏野氏は「(インターネット接続サービスであるiモードは)他社と差がなくなってきた。(FeliCaで)もう1つ、大きなウェーブを起こそうじゃないか」と、今回の新サービスに大きな期待を寄せる。
→iモードFeliCa対応の「P506iC」「SH506iC」「So506iC」「F900iC」、詳細記事はこちら
非接触ICチップFeliCaの搭載を、どうやって一般に分かりやすく訴求するか。そのためのキャッチコピーは「おサイフケータイ」というものだ。
「外に出るときに持って行くのは、サイフと携帯。(iモードFeliCaによって)サイフが携帯に入ってしまえば、携帯一個持てばいい」(夏野氏)
発表会場では、iモードFeliCa向けの新サービスも展示されたが、その多くは従来サイフに入れていたカードの機能を置き換えるものだ。
当初、中心となる機能は電子マネー「Edy」だろう。iCシリーズ4機種には、当初からEdyを利用するためのiアプリがプリインストールされており、さらに100円分の電子マネーが入っている。コンビニエンスストア「am/pm」で利用できるほか、全国約9000店舗で電子マネーEdy!を使って支払いが可能だ。
その後、順を追ってiモードFeliCaを使ったサービスは拡大。家電量販店のビックカメラやドラッグストアのマツモトキヨシでは、ポイントカード機能を提供する予定だ。そして2005年度後半には、JR東日本が「モバイルSuica」の名称でSuicaサービスを提供する(4月13日の記事参照)。
リアルビジネスとの連携が強く図れることで、携帯の利用シーンはさらに大きく広がる。夏野氏は「iモードよりさらにヒットする」と話し、期待を表した。
iモードFeliCaに関する疑問の1つは、ドコモのビジネスモデルだ。iモードの場合は、コンテンツのダウンロードによりパケット通信が発生するため、iモードが流行れば流行るほど通信料収入が発生していた。
iモードFeliCaの場合は、いったんサービス用アプリをダウンロードしてしまえば、その後の利用では基本的に通信は必要ない。では、どうやって収益を上げるのか。
「今後、FeliCaチップは(ドコモ以外の)他社の携帯にも乗っていく。その収益の一部は、ドコモにも入ってくる」と夏野氏。携帯向けFeliCaのライセンスは、ドコモとソニーの合弁会社であるフェリカネットワークスが一手に握っている(2003年10月27日の記事参照)。KDDIやボーダフォンもFeliCa機能搭載を進める予定だが、その際はフェリカ・ネットワークスからライセンスを受ける必要がある。
またiモードFeliCaを使ったソリューションビジネスの発展も期待できる。単なる通信業者のワクを越えた、新たなビジネスの可能性をiモードFeliCaを使って探っていく。夏野氏は「ドコモの定款には金融も入っている」と、新規ビジネスの広がりが期待できることをほのめかした。
短期的には、解約の減少を期待している。純増100万人というのは、500万人解約して600万人新規加入があった結果の数字だ。新規契約の獲得だけでなく、「解約する人をどうやって引き留めるかが重要」(夏野氏)。
iモードFeliCa対応の端末は、「P506iC」「SH506iC」「So506iC」「F900iC」の4機種がラインアップされた(6月16日の記事参照)。3機種は、2GインフラのPDCであり、FOMAは1機種のみだ。7月上旬から、従来と変わらない価格帯で発売される予定。
夏野氏は「1年半で1000万台のiモードFeliCa端末を売る」と豪語しており、今後もミドルレンジ以上の端末ではFeliCa対応が普通になっていく見込み。FOMAでは、901iシリーズがFeliCa対応を予定している。
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