リアル連携を鍵に、さまざまな分野に応用可能なFeliCa携帯。しかし、素朴な疑問として、ユーザーにとって「わざわざケータイでFeliCa」のメリットはどこにあるのだろうか。
「いいか悪いかは別にして、携帯電話が出てきたことで人間はルーズになってきました。待ち合わせをするとき、時間や場所をきっちり決めないで、何となく近くにきたら携帯電話で連絡を取りあって合流する。FeliCa携帯はそういった時代に最適なものではないかと考えています」
例として挙げられたのが、オンラインチャージだ。現在あるSuicaやEdyなどFeliCaカードは、プリペイドしたお金がなくなったら専用のチャージマシンやレジに並んで入金しなければならない。しかしFeliCa携帯なら、クレジットカードや銀行口座と連携する仕組みを作れば、携帯電話から「いつでもどこでも」オンラインでFeliCa部分にチャージできる。この仕組みは、既にEdyで利用可能だという。
「コンビニに行ったらサイフに現金がない。Edyカードにも残額がない。普通ならATMにいってお金をおろさなければいけませんが、FeliCa携帯ならレジに並んでいる間にオンラインでチャージできる」
また、ネットワークサービスと常に連携しているので、電車や航空機の座席予約を変更して、差額を即座にFeliCaで支払うといったサービスも事業者次第で実現できるという。
「もっとベーシックな部分としては、残額表示もFeliCa携帯ならではの機能です。SuicaやEdyカードでは自分が覚えてないと、使ってみるまで残額がいくら残っているかわからない。自動改札機にタッチしたら残額不足で通れない、なんてこともあるわけです。これはポイントカードなども役立ちます。最初から画面が付いているFeliCa携帯なら、(プリペイドした)お金がいくら残っているのか、ポイントがどれだけ貯まっているかが一目瞭然です」
FeliCa携帯はチップ上に設けられた5Kバイトのメモリを「共通領域」として複数のFeliCaアプリが利用する。共通領域をフェリカネットワークスが管理することで、セキュリティが担保されている。この共通領域を介して、FeliCaアプリ同士を連携させられるというメリットもある。
「FeliCaアプリ同士の連携は、サービス間連携機能として当初から想定されています。例えばアプリ同士でポイントを移動させたりといった使い方ができます。これもFeliCaカードではできない機能ですね」
さらに踏み込んで予測すれば、サービス間連携で移動できるのはポイントだけでなく、プリペイドしたお金ということもあり得る。FeliCa携帯では、それぞれ使いたいサービス事業者のFeliCaアプリ別に入金しておく必要があるが、将来、異なるFeliCaアプリでチャージしたお金を共有する事もシステム的には不可能ではなさそうだ。
なお、フェリカネットワークスのライセンス発行を受けない“勝手FeliCa”は共通領域にアクセスできない(2月19日の記事参照)ので、上記のようなサービス間連携は利用できないという。
今後の普及見通しとして、河内社長は「携帯電話市場で短期的な目標は意味がない」と前置きした上で、最終的には国内6000万台の普及数を挙げた。今後さらに増える携帯電話の75%程度を、FeliCa携帯にしたい考えだ。一方、海外市場は日本ほど携帯電話ネットワークが進化していないため、おのずと事業モデルが変わるという。
「FeliCa携帯は誰かに(使ってみた)話を聞くのと、自分が使ってみる実感が全然違う。使えばメリットが絶対に分かりますし、ケータイで“シャリン”とお金が払えるだけで楽しい。FeliCaカードから乗り換えても、損をしたとは思わせません」
取材終了後、河内社長のFeliCa携帯で“シャリン”とドリンクを1本ご馳走になった。確かにちょっとした感動がある。千円札をいれて、チャラチャラと出てくる釣り銭の重さに憂鬱になる必要もない。もうすぐこれを多くのユーザーが経験できるようになる。
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