ついにEdyの夢がかなう〜ビットワレット特集 動き出すFeliCa携帯(2/2 ページ)

» 2004年06月25日 08時00分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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もし、電波が途切れたら?

 宮沢氏は、Edy携帯のハードウェア開発で苦労があったと話す。「例えばICチップにしても、カード用ICチップをそのまま携帯向けに使うわけにはいかなかった」。

Photo 写真は、FeliCaカードに載っているICチップ(右上)。左半分はアンテナになっている
Photo こちらはFeliCa携帯に内蔵されるチップ

 FeliCa携帯では、ディスプレイ上で残高確認を行える。これを実現するには、非接触ICのチップを携帯のCPUと接続するよう設計しなければならない。また、FeliCaが使う電波と携帯が使う電波の干渉問題を解決するのも「難易度の高いところ」(同氏)だった。

 そもそも、電子マネーをネットワーク経由でやり取りすること自体、かなりの相当の検証が必要だった。携帯電話では、環境によって電波が途切れることがある。チャージ作業中に接続が切れて、問題が起こるようでは使いものにならない。途中から「やり直し」が効くように、通信のステータスをチェックする必要があったという。

 「携帯を落としたり、水濡れしたりして壊したら、どうなるかという問題もある。Edyでは『レスキューサービス』を用意して、サーバ側でユーザーデータのバックアップをとっている」。これにより、必要に応じて返金処理を可能にしている。

加盟店舗増のペースがアップ

 もう1つ苦労したのは、当初、加盟店舗が思ったようには増えなかったことだ。

 冒頭で述べたとおり、店舗数が増えればユーザー数も増え、それがさらなる店舗増につながるという「正の循環」が起こるが、その全く逆もあり得る。店舗数が増えず、ユーザー数も増えない……という状況だ。これを打開するのにも苦労したという。

 「1年前から急激に導入案件が増えてきた。今では毎日のように、“あそこがEdyを導入した、ここも導入した”とニュースになっている。FeliCa携帯の効果もあり、店舗側も積極的になった」

 1年前には、100万件程度だったEdyの月間利用件数も、今では月間330万件を超えていると宮沢氏。Edyを使えるカードの発行枚数は、400万枚に達している。2004年度末には、Edy加盟店を現状の3倍以上の「3万2000店」にまで増やすという。

 「営業が3万店に回って、Edyの読み取り機を置いていく。当然、一部こちらが負担するなどしているわけで、ほかの企業がゼロからこれに追いつくのは難しいだろう」

電子マネーといえばEdy――になるのか

 Edyは、いまや電子マネーの代名詞になりつつある。しかし、世間にはほかにも非接触ICチップを使った電子マネーサービスが出てきている。

 たとえば、JR東日本はSuicaに決済機能を付加したが、これは独自規格を採用したもの。こうした電子マネーとEdyは“競合関係”になりかねない。

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 宮沢氏は、「それほどほかの事業者を敵対視していない」と話す。

 「電子マネーの市場は広い。ほかとも相談しながら、市場を作っていく。Suicaにしても、駅構内に限定された電子マネーサービスであって、Edyとは棲み分けができる」

 もっとも、あまり多くの電子マネー規格が乱立すると、シチュエーションごとに異なる電子マネーを用意する必要が出てくる。これはユーザーの利便性を損なう可能性もある。

 「確かに、10も20も(電子マネーの種類が)あると困るかもしれない。ただ、クレジットカードの世界のように、大手としてVISAとMASTERとJCBがある、といったかたちでいいのではないか」

 宮沢氏は、3000円以下の支払いに利用される電子マネーの市場規模は、年間60兆円になるだろうと予想する。「10%でも6兆円規模だ。Edyは、このマーケットを目指していきたい」とした。

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