スクエニのネットワークアクションRPG「BEFORE CRISIS」を解剖する

» 2004年07月01日 00時06分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 スクウェア・エニックスが8月にベータテストを開始予定のネットワークアクションRPG iアプリ「BEFORE CRISIS -FINAL FANTASY VII-」(以下、BEFORE CRISIS)。

 このRPGゲームに搭載される「おそらく前例がない」という“携帯ならでは”の仕組みについて(7月1日の記事参照)開発陣に聞いた。

 なおゲームの詳細については、正式発表時に改めてお伝えする予定だ。それまで、開発者の発言をヒントにどんなゲームなのかを推理してほしい。

 BEFORE CRISISのゲーム画面。(C) SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA
 「ファイナルファンタジーi」サイトにはBEFORE CRISISのインフォメーションページがオープンしている。ベータテスターの募集開始などの詳細は、同サイトで告知される予定

知っている人や知らない人ともパーティが組める

 このゲームについて分かっているのは、1)物語の舞台はファイナルファンタジー VIIの6年前 2)アクションロールプレイングゲーム 3)ネットワーク対応 という3点だ。

 スクウェア・エニックスモバイル事業部長の洞正浩氏によればBEFORE CRISISは、「複数人と一緒に戦うことが可能」だという。

 「FF VIIには神羅カンパニーという組織があり、その1部隊として存在するのがエリート集団の“タークス”。このキャラクターを使って、知っている人同士で楽しめるネットーワークアクションゲームがあったら──というところから企画が始まった。タークスは4人いるので、複数人で遊べるようにしようと。強い敵が出てきたときに助けを呼ぶと、助けに来てくれる」(洞氏)

 ユーザーは新人タークスとして、与えられたミッションを仲間と遂行しながらゲームを進めることになる。

 どうやって誰とパーティを組むのかは、“だれがどういうシチュエーションで使っているか分からない”という携帯電話の特性を考えた仕組みになるという。

 例えばPCのオンラインRPGは、仲間と同じ時間にネットにアクセスして、一定の時間を共有しながらゲームを進めるスタイルが一般的だ。ただ、誰がどこで、どんなシチュエーションで使っているかが分からない携帯で同じ仕組みを取り入れても意味がない。

 「(携帯のオンラインRPGは)駅に着くまでの短時間で楽しめ、必ずしも即座に返事をしなくてもいいものである必要がある」(洞氏)

 そうした携帯の特性を生かすために「電話は相手と直接通じないと成り立たないが、メールは相手の都合に関わらず送ることができ、送られた側も自分の都合に合わせて処理できる。そういう感覚の仕組みを導入している」と洞氏は説明する。

 パーティは、知人だけでなく、知らない人と組むことも可能だという。見知らぬ人とのコミュニケーションは、初心者ユーザーにとっては敷居が高い面もあるが、そうしたユーザーでも参加しやすいよう配慮しているという。

 「直接言葉を交わすコミュニケーションではなくて、自分たちが遊んでいる“モノ”を通じたコミュニケーションもある。例えば自分が育てたキャラクターを友達が遊んだ場合、育てた人の何かを相手は感じられる。それもコミュニケーションの一種。オンラインにいなくても、いるかのようなコミュニティ感を持てる」(洞氏)

“携帯電話ならでは”の、アクション操作とは

 BEFORE CRISISには、“アクションゲーム”の要素も入っている。家庭用ゲーム機のゲームパッドに比べて制限の多い携帯電話のキーでも、アクションゲームの爽快感を味わえる仕組みだと洞氏。

 「(家庭用ゲームの)アクションの面白さを携帯電話向けに再構築したらどうなるのか。まず、アクションゲームの快感がどういう要素から成り立っているのかを追求するところから始めた。その要素を限られた画面サイズとインタフェースの中で、“携帯ならこう再現するのがベストだろう”という風にゲームデザインした」(洞氏)。

 基本的な操作は、方向キーでリアルタイムに敵を避けながら移動し、バトルに入ると決定ボタンで相手を攻撃したり、方向キーで避けたりする──というシンプルなものだ。攻撃の際には、2つのキーを組み合わせて使うような煩雑な操作はない。「アクションの攻撃操作自体は連打に近い。しかし、そこにさまざまなパズルやバトルのロジック取り入れて新しいアクションゲームの面白さを表現している。これがケータイアクションゲームの答えだと考えている」(洞氏)。

 アクションゲーム部分は、慣れていない人でも遊べることを想定して作られているが、上級者でも楽しめる要素を加えられるという。

 「誰でも楽しめるゲームの上に、さらに楽しみたい人向けの要素を追加できる形にしている。上級者は余裕をさまざまな部分で生かせる。例えば何かが成長して自分のプレイに生かされるとか……」(洞氏)。

グラフィックは3Dのプリレンダリング

 絵作りも、アクションさせる上でどう表現するのが最適なのかを考えたものになっていると話すのは、モバイル事業部の田畑マネージャーだ。

 「限られた携帯の画面上でスペースを表現したり、実際は限定された範囲でしかアクションしていないものを、広い範囲で動いているように認識させたりすることを考えると3Dのほうが向いている。ただ“現状は”すべてを3Dで表示するのは難しい。そこですべての絵のデータを3Dで作成し、最適な形で携帯の画面上に表示できるよう前もってレンダリングして使う、プリレンダリングの技術で絵を作っている」(田畑氏)。

 この手法は、アクションの操作性を上げることにも貢献している。「キャラクターをプリレンダリングすることで、キャラの動きやマップの広がり、奥行きを、(最終的なイメージは2Dだが)3次元的なイメージで作っていける。落とし込んだキャラクターの動きのデータも、3次元の動きから途中の動きを取ってきて切り替えるのではなく、操作と連動して決め込める。どこまでが気持ちよく認識できてどこからが無駄な情報なのかは、このように作らないと分からない」(田畑氏)。

FF VIIの登場人物は出てくるのか

 FF VIIでおなじみの登場人物たちは、iアプリ版に登場するのだろうか。BEFORE CRISISのメインキャラクターとして登場するのは、タークスのリーダー・ツォンとプレジデント神羅の実子であるルーファウスなど。新キャラクターとしてお目見えするのは、VIIでのタークスのあり方を決定付けることになる主任のヴェルドだ。

 ほかのキャラクターについても、「VIIの6年前の話なので、当然VIIに登場したキャラたちは存在している。彼らがどのような役割で登場するのかは見所でもあるので期待してほしい」(宣伝部)というから楽しみだ。

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