Macromediaが「携帯向けFlash」で目指すもの

» 2004年07月12日 15時26分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 既報のとおり(関連記事参照)、ドコモに続いてauが1X WINの新機種でMacromedia Flashに対応した。これにより、Flashはますます携帯というプラットフォームとの結びつきを深めることになる。

 ユーザーは今後、どのような携帯向けFlashコンテンツを目にすることになるのか。Macromedia モービル・アンド・デバイス シニア・ディレクター・マーケティングのアヌープ・ムラーカ氏に、市場の動向や同社の将来的な狙いなどを聞いた。

 Macromediaのアヌープ・ムラーカ氏

キャリア、メーカーに導入が進む

 デスクトップの世界ではデザイナー、デベロッパーから支持を集めているFlashだが、最近ではモバイル向けにもその技術を移植しつつある。

 アヌープ氏は、携帯電話向けの「Flash Liteシリーズ」が登場するきっかけになったのは、NokiaやMotoloraがFlashを搭載したことだと話す。「当時は、デスクトップ向けのFlash 5を搭載していた。しかし、やはり携帯に特化したものを用意すべきだという話になった」。

 この発想の元、リリースされたFlash Liteにいち早く興味を示したのがドコモだったという。「ドコモは、キャリアとしては世界で初めてFlash Liteのライセンシーとなり、成功を収めた」。その後、独T-Mobileや端末メーカーのSony Ericsson、韓国Bellwaveなどもライセンシーに加わった。もちろん、本日からはauの名前も追加されることになる。

 今後も、多くの企業とライセンス契約を結びたいとアヌープ氏。ボーダフォンも導入するのか気になるところだが、「現時点ではノーコメント」とした。

 クリエでFlashコンテンツを表示させたところ。異なる環境でも問題なく動作するのがFlashの強みだと、アヌープ氏は強調する
Photo Flashベースで作りこんだ、携帯のトップメニュー。写真はサードパーティ製のプロトタイプだが「開発には2週間しかかからなかった」。開発期間を短縮できるのもFlashならではという

Flash Lite 1.1で追加された機能

 今回、auの携帯電話に搭載されるのは最新バージョンの「Flash Lite 1.1」となる。同製品は、6月29日に出荷が開始されたばかり(6月29日の記事参照)。

 新版では、W3C標準のSVG-Tをサポートした。「(SVGは)XMLを利用したアニメーション用のオープンスタンダードであり、欧州から要望が強かった」。また、MP3、PCMADPCMSMAFといったオーディオフォーマットもサポートしている。

 ネットワーク接続機能が追加された点も重要なポイント。これにより、サーバとの動的な通信が行えるようになる。「たとえば、天気図のコンテンツを自動アップデートすることも可能だ。コンテンツは、差分だけダウンロードすることになる」。

 Flashコンテンツを電話機能に統合するための、APIも盛り込まれた。デベロッパーはスクリプトコマンドを利用して、バッテリーレベルのチェックや信号強度といった情報にまでFlashからアクセスできる。「FlashからSMSを送ることも可能だ」。このため、携帯ならではのFlashコンテンツを開発できるという。

 なお、現時点でドコモが採用しているのは旧バージョンの「1.0」となる。しかしアヌープ氏は、ドコモが、「1.1」にも強い関心を示しており、採用する可能性があると話した。

新サービス「Flash Cast」

 アヌープ氏はまた、Flashの技術を利用した新しいサービスを披露してくれた。「Flash Cast」と呼ばれるサービスがそれだ。

 Flash Castのインタフェース。画面は開発中のもの

 上写真を見ると、複数の“チャンネル”が縦に並んでいることが分かる。各チャンネルには「株価情報」「天気予報」などのコンテンツが割り当てられており、ユーザーはテレビのチャンネルを合わせるように、コンテンツを選択して閲覧できる。

 各チャンネルの画面。トップメニューから選択する以外に、十字キーの左右を押すことで、隣のチャンネルへと移動できるようになっていた

 アヌープ氏は、これはペイTVのようなサービスだと話す。

 「見たい番組に応じてパッケージが用意されており、ユーザーは好みのパッケージに契約する。番組の種類によって、プレミアムチャンネルなども用意される」

 現状では、まだこうしたサービスを展開している事業者は存在しない。しかしアヌープ氏は、日本でも協議が進んでいるとコメント。進化したFlashコンテンツの姿を、垣間見せた。

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