ドコモ、FeliCaの新ビジネスモデルを明かすWIRELESS JAPAN 2004

» 2004年07月22日 19時36分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ドコモは、FeliCa携帯で新しいビジネスモデルを構築することを明らかにした。FeliCaを導入したい企業に資金提供を行い、その売上の一部をドコモの収益とする。

 7月22日のワイヤレス ジャパン 2004の講演で、ドコモのマルチメディアサービス部アライアンス推進担当部長、平野敦士氏が話した。既に数十社と導入についての話し合いを行っており、「ほぼ確定した企業もいくつか出てきている」という。

導入企業に資金提供

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 平野氏は、FeliCaを導入する意志がありながら二の足を踏んでいる企業が多いと話す。その理由は、初期投資コストの高さだ。

 たとえば、あるチェーン店を抱える企業がFeliCa導入を考えた場合、全店舗にリーダー/ライターを用意し、据え付ける必要がある。また、それらをまとめるネットワークシステムを構築し、携帯向けアプリを作りこむといった、技術開発コストも問題になってくる。

 「“参入障壁”を低くしてほしいということで、希望というかクレームというか、悩みが多かった」

 ドコモは、こうした企業の参入を促進するため資金提供を行う。その代わりに、売上と連動するかたちで手数料を取るといったモデルを考えているという。

 「詳細は、後日発表する。IRの問題もあるので具体的なことはいえないが、一種のプロジェクトファイナンスだ」

 ドコモから提供される資金は、当然ながらリーダー/ライターの購入などに使い道が限定される。ただし、「厳密な意味でのファイナンスとは異なり、必ず元本を返せという話ではない」(同氏)。FeliCa導入企業が高いリスクを負わなくてよいようにする、「リスクアービトレーション」(リスクの仲裁)といった位置付けだという。

見えない「FeliCaのビジネスモデル」の解になるか

 ドコモのFeliCaサービスは、そのビジネスモデルが見えにくいと一部で指摘されていた。

 ユーザーが通信を利用すればするほど、徴収できるパケット料が明確に増えるiモードと異なり、FeliCaサービスは利用頻度が上がってもそのままドコモの収益増に結びつかない。実際、6月のFeliCa端末の発表会場でも(6月16日の記事参照)、報道陣からも「これでどのようなビジネスモデルをめざすつもりか」との質問が飛んだ。

 この時、ドコモのiモード企画部長 夏野剛氏は以下のような見方を示した。

 「FeliCaという魅力あるサービスを提供することで、新規契約者を増やし、ほかのキャリアへの乗り換えを防ぐことができる。また、フェリカネットワークスのラインセンスを受ける企業が増えれば、(ドコモはフェリカネットワークスに出資しているので)そのライセンス料の一部がドコモに流れ込む」

 夏野氏はまた、FeliCaを使ったソリューションビジネスの可能性も示唆していた。「ドコモの定款には金融も入っている」――。今回、平野氏が明かした内容がこの答えとなる。

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