従来のAVI(DV)、MPEG-1、QuickTimeフォーマットに加え、Winsows Meida Videoフォーマットからのエンコードも可能になった。どうやらDirectShowFilterをサポートしたようで、筆者の環境では「MTV2000Plus」でMPEG-2フォーマットで録画したファイルや、DivXでエンコードしたファイルも問題なくエンコードして再生できた。従来はMPEG-2フォーマットですらVAIOで録画したファイルに限定されていただけに、VAIO以外のPCと連携する人にはうれしいバージョンアップだ。
またエンコード時に、ファイル分割も可能になった。複数のメモリースティックも活用できるし、メモリースティックとCFメモリの両方に保存してもいい。どうしても高画質で再生したいといった場合にも活躍するだろう。
PIM機能は「CLIE Organaizer」を採用しており、おおむね「TH55」と同等と思っていい。「CLIE Organaizer」は縦長画面での利用となり、操作部を引き出して片手で操作するのはやや不便なので、スタイラス操作が中心になる。Palm標準のPIM画面を利用する分には横長画面も利用でき、「情報をちょっと確認」といった程度ならこちらを利用してもいい。
ただTH55と比較すると、厚みも横幅も重量もあるため、PIMだけの利用で考えると快適性は少々劣る。もっとも機能を考慮すると仕方ないのだろうし、VZ90をPIMとして利用するためだけに購入する人はまずいないだろうから、問題はないだろう。
VZ90は、無線LAN内蔵に加えて、CFタイプのAirH"(「AH-S405C」)もサポートしている。今回は無線LAN接続で利用してみたが、ブラウジング端末としても快適に利用できた。
VZ90ではビジュアルデバイスとしての利用も意識してバッテリーも強化されている。容量は「TH55」の倍の2600mAhとなっているが、内部的には1300mAhのコアを2つ内蔵した。同時に2つのコアを充電することで、充電時間は1300mAhのバッテリーと同等とした。ディスプレイ輝度最大での動画再生を行っても、連続4時間の再生が可能。大作映画を1本見終わっても、まだPDAとしては十分に利用できるバッテリー動作時間を実現している。
ここまで触れてきた通り、ビジュアルデバイスとしてVZ90は非常に魅力的だ。ただここまでビジュアルデバイスとしての機能にこだわっていると、“あえてCLIEである”、つまりPDAである理由もそれほどは見つからない。むしろ地上波テレビチューナーを内蔵してくれたほうが、魅力的だと思う人も多いのではないだろうか。
ただし有機ELディスプレイのコストのためか、価格はソニースタイルで9万4290円。ポータブルテレビとしては高すぎて、家電としては売れないだろう。となれば、常にPDAを持ち歩いている最新のデジタルデバイス好きのユーザー層をターゲットとするのも分かる。初物価格といえばそれまでだが、興味半分でおいそれとは購入できない価格が、一般ユーザーにとって一番のネックであることは間違いない。
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