W02Hは、初のCFタイプであることに加え、もう1つのau初の要素がある。付属のダイヤラーソフトとイヤホンマイクを組み合わせると、2GHz帯を利用した音声通話が行えるのだ。
音声通話は発信はもちろん着信も受けられる。Windows用のダイヤラーソフトでは、着信メロディまで選べる。アドレス帳や発着信履歴機能も備え、数字キーで電話番号を入力可能だ。
通話はW02H側で音声処理を行う。イヤホンマイクをW02Hに接続して通話するためか、品質も音声端末と特に変わらない。おおむね発信専用で使うことにはなるだろうが、機能としての実用性は悪くない。
料金面では音声通話をサポートする関係か、料金プランとして割安な「PacketWINシングル」は選べなくなった。WINの音声端末向け料金プランでの契約が必要で、PCカード型の「W01K」と比べた場合、ミニマムの月額料金は高くなってしまった。「PacketWINシングル」が1575円/月に対し、音声端末向けプランではもっとも安いプランSSでも4095円/月になるからだ。
ただしこの点は、割引制度を生かせばバランスがとれる。例えばプランSSに年割や家族割を適用すると、契約1年目から2610円/月になり、1050円分の無料通話料が含まれる。実質の基本料金は1560円/月という計算が成り立つわけだ。既にauの音声端末を契約しているユーザーが家族割を適用して使うなら、実質のミニマム月額料金は変わらないことになる。ちなみに「PacketWINシングル」には企業向けのボリュームディスカウント以外の割引サービスはない。
基本料金に含まれる無料通話料金は、Packet割WIN(ミドル、スーパー含む)を利用するとデータ通信料金として使えない。しかしW02Hを使うにあたってPacket割WINを適用しない人はほとんどいないだろう。そうなるとW02Hで音声通話しないとムダになる気もするが、家族割なら音声端末でW02Hの無料通話料金を使えばいい。場合によっては音声端末を1ランク安い基本料金プランに変更するのもありだろう。
もっとも「PacketWINシングル」という選択肢があったほうが、料金面での自由度が高いのも事実。PacketWINシングルが契約できない理由は分からないが、できれば対応してほしいところだ。
W02HのインフラであるCDMA 1X WINは、一般に2.5Gと呼ばれるcdmaOneからの互換性を継承している。速度面の制限はあるがWINのエリア外でもcdmaOne、CDMA 1Xのエリアであれば利用できる。
気になるのは音声通話のサポートとこれに伴う料金面のちぐはぐさだ。Wake on Modem機能を使って“PDAの消費電力を抑えつつ待ち受けが可能”というなら、音声端末としても利用価値があるかもしれない。しかしマニュアルを確認するかぎりでは、こうした使い方には対応していないようだ。音声通話機能のサポートは否定しないが、それと引き替えにPacketWINシングルを契約ができないのは、アンバランスな気がする。
もっとも、auユーザーであれば家族割を活用すればミニマムの月額利用料金は1560円/月で済む。VGSのデータバリューパックには無料通信料で大きく水を空けられているが、FOMAと比較するとパケット料金は割安で、利用可能エリアも広い。
料金面では、割引サービスをフルに活用しても“Webアクセスを頻繁に行う”といった使い方にはまだ向かないが、“利用する時に快適さを求める”“できるだけ広いエリアで使いたい”といったユーザーには向いている。auの場合、パケット割WINの当月適用もできるので、“普段は割引サービスなしでPDAでのメール送受信専用に使い、出張時などヘビーに使う際にはパケット割WINを当月適用、翌月は割引サービス解除”といった使い方も可能なことを覚えておくといいだろう。
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