KDDIが考える「着うたフル」の勝算(5/5 ページ)
インタビューのとおり、着うたフルは音楽CD販売と競合しないように腐心している。着うたフルが狙うのは、どちらかというとCD購入前に音楽を楽しむ“カジュアルな音楽市場”だ。そして、現在その市場は音楽CDレンタル業界が押さえている。
音楽CDのレンタル市場はもちろん合法であるが、CDを直接レンタルするため、CD販売と競合しないように調整する“さじ加減”が難しい。レンタルCDに厳密な著作権保護をする目的で導入したCCCDがユーザーの反発にあい、失敗した例も記憶に新しい(9月17日の記事参照)。
着うたフルはレコード会社による著作権のコントロールが容易な上、音楽CD販売との連携が前提になっている。レコード会社にとって、“カジュアルな音楽市場”が着うたフルに流れることは、KDDIと利害が一致するポイントだ。CCCD導入というハードランディングが失敗した今、音楽CDレンタル市場が抱える著作権コントロールの問題を回避するソフトランディング路線として、レコード会社が「魅力的な着うたフル市場の育成」に協力する可能性がある。
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神尾寿──通信・ITSジャーナリスト
IT専門誌記者、大手携帯電話会社での嘱託コンサルタント業務を経て独立。通信およびITS分野のビジネスおよびニーズ分析を専門にする。IT専門誌、ビジネス誌から一般誌まで幅広く連載を持つ。著書は「自動車ITS革命」(ダイヤモンド社)。IRI-コマース&テクノロジー社客員研究員。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術委員。
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