韓国では有料音楽配信サービスが定着しておらず、一般ユーザーの楽曲入手方法はファイル交換サービスなどが主流。そのため「著作権保護機能がなく、PCから自由に曲を転送できるMP3フォンは著作権侵害の被害を拡大する」とレコード業界が問題視した。そのためMP3フォンの発売自体、先送りされていた。
しかしその交渉の最中、LG Telecomが著作権保護機能のないMP3フォンの発売を発表。これに猛反発したレコード業界が同社への音楽配信の中止を宣言する一方、端末メーカーやキャリアも「(著作権保護機能を付けると)消費者の利益が損なわれる」と応戦するなど泥沼化した。事態を重く見た政府(情報通信部、文化観光部)が仲裁に入って再び話し合いが行われ、以下の合意案がまとめられた。
これでようやく解決に向かうかと思われたが、最終段階になってLG Telecomと端末メーカーが合意案を拒否。著作権制約のないMP3フォンの販売を続行した。その後、KTFやSK Telecomも同調したため、最近までMP3フォンのほとんどが著作権の制約を受けず、自由にMP3ファイルの転送が可能な状態となっていた。メーカーやキャリアが「まず著作権保護ありき」ではなく、ユーザの利益や使い勝手を優先して考えているというのは、日本と大きく異なるといえるだろう。
しかし最近になって、両者が急速に和解する動きも見えている。そのあらわれといえるのが、11月15日にスタートしたSK Telecomの「MelOn」という革新的な音楽配信サービスだ。
「革新的」な理由は、配信する楽曲がDRM(著作権保護)機能付きの、独自のファイルフォーマット「dcf」を採用した点にある。そのためダウンロードした音楽は、dcf対応のMP3プレーヤーやMP3フォンのみで再生できる。
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