腕の見せ所は、どんな機能を載せて、何を削るかにある。不必要な機能を削れば、端末も小さく軽くなり、バッテリー駆動時間も伸びる。
新サービス普及期には、全ラインアップに漏れなく新機能を搭載することも必要だった。しかし機能面もユーザーの意識も成熟してきた昨今、不必要な機能まで持って歩くのは勘弁してほしい。“とにかく全部入り”が素晴らしいわけではないのである。
では、どんなスペック、機能が最低限必要なのか。ここはキャリアによっても考え方が違うところ。au端末では、ローエンドでもデザイン端末でもQVGA液晶を必須としている。あのtalbyでさえ液晶はQVGAだ(2004年10月13日の記事参照)。
ユーザーアンケートでも、「大きくきれいな液晶」は常に求める機能の上位に入っており、auのこの決断は大いに評価できる点だろう。ドコモがコンセプトモデルの投入に当たり、ボーダフォンは海外製端末の投入に当たってQVGAではない液晶を使ってきたのに比べると、auの液晶に対するコダワリが分かる。
もう1つはカメラの搭載だ。企業向けなどの一部機種を除けば、カメラは必須。ただし画素数や受光素子の種類はもはやあまり重要ではない(2004年12月16日の記事参照)。付いていることが重要なのであって、高画質を求めて端末が厚く重くなってしまってはバランスはぶちこわしだ。
カメラにはマクロ撮影できる機能が必要だ。QRコードを読み取るためである。単に写真を撮るだけでなく、Webサービスの入り口に使えること──それが現在の携帯カメラの価値の1つとなっているのだ。
さて、振り返ってA1404Sはどうか。
液晶はほぼ文句がない。“ほぼ”というのはバックライトの点いた状態から、いきなり消灯するからだ。半透過型液晶を使っているため、屋外での利用ではあまり問題はないが、室内や夜はバックライトが消えると非常に画面が見にくくなる。バックライト全点灯の状態から、微灯に変わり、十分時間を持って消灯するのが最近の作法であろう。その際、ボーダフォンの702NKのようにジワリジワリと輝度が変わっていくと高級感が増す。
カメラは必要最低限だ。試作機ではCMOSセンサーはとりわけチューンアップされた形跡もなく、プレビュー表示時はCMOS特有のゆがみも激しい。フレームレートをあまり上げていないのだろう。しかしそれでもいいのだ。A1404Sの場合、カメラは付いていることに意義があって、デジカメ代わりに使えることを期待してはいけない。
それよりも、前機種まで外付けマクロレンズだったのが、スライド式のマクロ切替が可能になったことが重要だ。やっとほかのローエンド機種に並んだというレベルではあるが。
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