「F」ではF900iからこの機能が備わっていたが(2004年7月の記事参照)、“映像なしの動画ファイル”としての変則な扱いだった。このため音楽を聴くには、miniSDカードの特定のフォルダに、指定されたファイル名で音楽ファイルをコピーするなど、煩わしい手順を踏む必要があった。
F901iCでも、miniSDカードへの記録にルールがあるのは変わりないが、付属の「miniSDユーティリティ」を使えば、miniSDカードへの楽曲転送を容易に行える。ユーティリティ上の動画フォルダに音楽ファイルをドロップしてコピーするだけでいい。ユーティリティがファイル名を変更しながら、適切なフォルダにコピーしてくれるからだ。
動画フォルダ内に任意の名前でフォルダを作成し、その中に音楽データをコピーすれば、フォルダをアルバムのように扱うこともできる。また音楽ファイル内に埋め込まれたタグも有効なので、iTunesなどの音楽情報をタグに埋め込んでくれるソフトでエンコードされていれば、F901iCでも曲名を一覧することが可能だ。
再生時の扱いが動画となるのはF900i/iC/iTと同じ。動画再生(iモーション)でminiSDカードを指定し、動画閲覧と同じ操作で再生を行う。連続再生機能を使えばフォルダ内の音楽ファイルを連続再生することも可能。ランダム再生や1曲リピートといった機能は備えていない。
ディスプレイを閉じた状態ではサイドキーの単押しで音量調整、長押しで前後曲への移動ができる。また背面ディスプレイには再生中の曲名が表示される。ミュージックプレイヤーとしての機能は、最低限のレベルを満たした程度のものだが、フォルダをうまく使えば、それほど困らないだろう。
音楽の再生中には音声着信、メール受信が優先される。通話やメールの確認が済むとプレイヤー画面に戻り、再生中の曲の先頭から再生を再開できる。再開もセンターキーを押すだけだから簡単だ。携帯電話の特有のミュージックプレイヤーとしての動作は及第点だろう。
残念なのはFOMAの特徴であるマルチタスクが生かされていない点。音楽再生中でもTASKキーを押せばほかの機能を呼び出せるが、再生は一時停止状態になる。できればメールの閲覧や作成・送信など、音楽を聞きながら使いそうな特定の機能だけでも、再生しながらの利用を可能にしてほしい。
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