AP-K303Tでは100件までのアドレス帳が新しく採用された。おそらくメールアドレスを登録するのが本来の目的であろうが、これが通話の際にも実に有効に機能する。あらかじめ関係者の電話番号と名前だけを登録しておけば、子供に対して「知らない人からの電話に出てはいけません」という注意を与えておける。
振り込め詐欺や誘拐など、電話をきっかけにした犯罪がはびこる世の中で、子供にとっさの判断を要求するのはほぼ不可能といっていい。だからこそ、電話に出させないという手段が効果的なのだ。AP-K303Tは一般着信とアドレス帳着信の鳴り分けに対応しているが、個々に音量調整ができないのが少し残念である。
丸みを帯びた本体デザインも、ポケットやカバンからの出し入れを簡単にしているようだ。サイズからいえば前モデルのほうが小さかったが、アンテナ部分が長かったため、わが子の場合はよくポケットに引っかかって出てこないこともあったようだ。
また、前モデルでは□や△のボタンの上に、お父さんやお母さんの絵が描かれた紙製シール(添付)を貼って、それぞれのボタンを認識させていた。確かに分かりやすかったのだが、やがて真っ黒になり最後は擦れてボロボロになってしまう。AP-K303Tは後から名前の入力が可能なので、液晶に表示させることができる。
このほかにもドライブモードが追加されたり、15秒×3件までの音声メモが使えるようになったりと、細かな機能追加もありがたい。それらは今すぐに要らなくても、来年、再来年になれば使いたくなるかもしれないからだ。
端末の電源が入っていなくても動作する防犯ブザーの音量は、最大で約105dB/10cm。例えていうならば、朝にけたたましく鳴り続ける目覚まし時計というところ。電話の着信音にしては非常識なほどうるさいが、パトカーのサイレンのように犯罪者を後ずさりさせるような緊迫感はない。
相手がいたずら目的で近づいたのであれば、防犯ブザーの大きな音で逃げ出すのかもしれない。だが、薬などで相手がおかしくなっていたり、刃物を持っているような場合はいくら音を出したところで効果はないだろう。せめて周囲の人たちに“何かが起きている”ことを知らせるのが関の山だ。
子供には、防犯ブザーを鳴らすことを教えるのではなく、鳴らしながら走って逃げることを徹底的に覚えこませよう。そして、家族も一緒になっての防犯訓練が重要になる。防犯ブザーと連動して異常を通知する「ぴぴっとコール」も、普段から慣れておかないと、いざというときに慌てる原因となるばかりだからだ。
ストラップホールは2カ所。中央につけたストラップを引くか、指で直接押し上げるようにすると、防犯ブザーが動作する |
メニューボタンを押して「PiPitせってい」−「防犯ブザー発信先」を選択すると、ぴぴっとコールの発信先を登録できる |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.