環境の準備が面倒なW31SAだが、音楽プレーヤーとしての使い勝手は悪くない。ミュージックプレーヤーと呼ぶ機能を持ち、ユーザーリストを作成すると、本体、miniSDメモリカード内のすべての再生可能なデータを一緒に登録できる。着うたフルの楽曲もSD-Audioの楽曲もシームレスに再生が可能だ。またPCからメモリカードへの転送時にプレイリストを自動作成する機能もあり、アルバム単位で転送すれば、W31SA側では特に登録操作をすることなくアルバム単位での再生を行える。
プレーヤーで再生中に「BGM」ボタンを押すと、待ち受け画面に戻り、ほぼ制限なくほかの操作が行える。例えば着信音の設定操作を行うと一時的に音楽再生は中断するが、処理を終えると再生停止位置からフェードインして再生が再開される。音声着信やメール受信時も同じだ。ただしminiSDカードにアクセスすると音楽再生は完全に終了してしまうので、この点に注意が必要だ。
付属のヘッドフォンはリモコン機能などはなく、ごく一般的なもの。角型コネクタとの変換アダプタが付属し市販のステレオミニプラグのヘッドフォンも利用できる。
miniSDメモリカードは、筆者が確認した限り512Mバイトでも問題なく利用できた。この点はW31SよりiPod的に利用できる部分だ。半面気になったのは、PCからメモリカードに転送する際の遅さだ。USB2.0対応のメモリカードリーダーを利用したにもかかわらず、お世辞にも速い転送速度とはいえなかった。おそらくは暗号化の問題だと思うが、不満の残るところだ。
W21TはW31SやW31SAのように、音楽CDから取り込んだ音楽ファイルの再生を公式にサポートしているわけではないが、iTunesで音楽CDから取り込んだAACファイル(拡張子.m4a)をminiSDメモリカードにコピーするだけで再生できる。W21T側でフォルダの移動作業が必要になるが、これはまとめて行えるのでそれほど手間がかかる作業ではない。ファイル名が曲名であれば、そのまま一覧などにも反映される。
もっとも制限はある。サンプリングレート24KHzまでのAACファイルしか再生できないので、iTunesでは40Kbps以下のビットレートで取り込まなければならない。iTunesの仕様では96Kbpsまではサンプリングレートはビットレートに比例して設定されるためだ。ビットレートが40Kbpsを超えるとサンプリングレートも24KHzを超えてしまう。
QuickTime ProでエンコードしたAACファイル(映像なしの3gpp2ファイル)であれば、サンプリングレートを抑えたままビットレートをもっと引き上げられるが、期待するほど音質は向上しない。低音、高音がどこまで再生できるからは概ねサンプリングレートに決められてしまうからだ。
miniSDメモリカードへの転送は簡単だ。miniSDメモリカードの「\PRIVATE\AU_INOUT」フォルダにiTunesからそのままドラッグ&ドロップでコピーし、「W21T」にメモリカードを装着して「SDカードメニュー」から「PCフォルダ」にアクセスし、「取込」を実行すると、サウンドフォルダに移動して再生が可能になる。
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