WiMAX&Wi-Fiの挑戦は旋風を起こせるか?(2/3 ページ)

» 2005年07月05日 19時09分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「MIMOの技術を組み込めれば、希望的観測だがWiMAXの通信能力が5割増しになる」。つまり通信可能範囲は3〜4.5キロになり、最大速度は100Mbpsを超えるだろうと山本氏。

 同社はAPの開発にあたり、WiMAXチップは他社からの購入を考えているが、そのチップベンダーが開発を進めているとした。

サービスモデルは「一般ユーザー巻き込み型」

 ビジネスモデルでは、APの設置場所が面白い。電柱などに敷設すると思いがちだが、企業や一般ユーザーの家庭にも設置する計画だ。具体的には、平成電電のADSLインフラなどを持つ企業、家庭に無線APを無償配布するという。

 ジャパンワイヤレスでは7月5日から10万人に募集をかけており、15万〜20万のAPのうち半分以上をこれでまかなう計画。応募者にはAPに加えWi-Fiカードを配布するほか、一部をのぞくサービスを無料化する。これに応じたユーザーは、自宅のAPをほかのユーザー向けに“開放”することになる。

 ホットスポットといえばセキュリティ面が不安視されることも多いが、オープンウェーブの暗号化技術を駆使することでこの問題をクリアする。センター側でRADIUSサーバを立て、各端末に証明書を発行するといった管理も検討しており、安全面では万全を期すかまえだ。

 「自分の無線APに見知らぬユーザーが入ってくる」という、ユーザーの心理面の不安も考えられるが、平成電電の佐藤社長は「技術的に考えれば、帯域をみなでシェアするのは普通のこと。端末が同じ(共有する)か、別かというだけだ」とした。

 なお、ジャパンワイヤレスでは半径600メートルに1件程度の配置を考えているため、近隣に既に応募ユーザーがいる場合は申し出を断ることもあるという。

 もう1つ、街中にマルチメディア端末を設置していくモデルも考えている。本屋やビデオ屋、ゲームセンターなどにアドテックスの複合機「デジらく」を設置する予定で、これもアクセスポイントの機能を持つ。

Photo マルチメディア端末「デジらく」

 同端末では、コンテンツ配信なども行う予定。ドリームテクノロジーズの山本社長は「短期的には、この(店舗に端末を納入する)モデルが売上に寄与するのではと思っている」と期待を寄せた。

不安定ポイント――WiMAXの不透明さ

 面白いサービスだが、説明を聞いていると疑問も浮かぶ。

 WiMAXは現状、規格として不透明さが残っている。総務省の主催する「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」の提案募集にMobile WiMAXが提案されている段階で(5月23日の記事参照)、どの帯域を使うのか、どの事業者に免許を割り当てるのか、そもそも免許制になるのかも決まっていない。

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