ケータイが教室、放送が学校――10代が“居る”ラジオ(2/4 ページ)

» 2006年01月06日 14時14分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ネット掲示板で会話した人同士が出会うことはまずない。「でもぼくらはラジオだから」(森田さん)、生身の人間と話せる。ネットでアクセスしてきた人の声を、電話で聞ける。同じエントリーに書き込んだ2人に電話して、会話させることもできる。

 ケータイやPCからの投稿を、パーソナリティーである「やましげ校長」(山崎樹範さん)と「やしろ教頭」(家城啓之さん)が、暑苦しいまでにリアルな人間関係に変えていく。メールやBBSをもとにしてリスナーに電話し、投稿の経緯や本当の思いを聞く。メインパーソナリティーのこの2人、ラジオ初出演ながらトークは軽妙。スタジオには笑いが絶えないが、涙も耐えない。“オトナが子どもに与える番組”にありがちなマス媒体っぽい予定調和は、そこにはない。

photo やましげ校長(左)は俳優や声優として活躍中。やしろ教頭は漫才コンビ「カリカ」のボケ担当

 ニートを特集した回。「高校卒業後すぐに就いた仕事を辞め、夢に向かって動くこともなく、ただバイトしているだけの今の自分はニートだ」と悩むハンドルネーム「すきまっ子」との電話で校長は、しぼり出すようにこう語った。

 「すごく当たり前に思うこと言っていい? ――やれよ。何にもやってねーんだから、お前。今部屋で1人でいてさぁ、何か変わると思う? 今お前、親すら幸せにできてないんじゃない? 何かしてくれよ、頼むから」

 「オレは今お前としゃべってて楽しい。だって、こうして出会ったら好きになるじゃん。お前のことさっきまで知らなかったよ。でももう、お前のこと知っちゃったから、もうだめだもんね……下の名前なんていうの?」

――ナオミです

 「お前はニートじゃない。ナオミだよ。頑張れよお前。ばっと走ってみ。そしたら笑顔も増えるし、周りの笑顔も増える。『頑張れ』って、あんまり言っちゃいけないって(他のリスナーに)言われたけど、オレは言うよ。頑張れよお前!」

 電話を切った後。校長は叫んだ。「おめーらニートじゃないぞ! このSCHOOL OF LOCK!は、お前らを、放っとかない」

 「まだオレ達の声が届いてない奴ら。うぜーと思ってる奴もいっぱいいるだろうよ。でもこうやってラジオを通じて、掲示板を通じて、出会っちゃったから。出会っちゃった以上、うぜーかもしれねーけど、放っとかない」

photo この日のスタジオの黒板。この画像はケータイとPCのサイトで公開されている
photo 放送中の風景の画像をケータイサイト向けに加工して配信するスタッフ
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