ケータイが教室、放送が学校――10代が“居る”ラジオ(4/4 ページ)

» 2006年01月06日 14時14分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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握っている鍵に、気づいてほしい

 「子ども達に、“今”をつかもうとしてほしい」――森田さんは、そんな風に言う。「始めるのは今なんだと、伝えたい」

 「『いつか勉強する』『大人になったらやる』――そんなことを言って、ダラダラなんとなく生きている人って多いと思う。そうでなくて、今日、今、この瞬間に動かないと未来もないし思い出もないんじゃないかなって、伝えていければと」

 新聞やテレビが、今の子ども達が目的もなく進路を決めていると報じる。高校の中途退学率も高まっていると聞く。「彼らはなんとなくただ、今をエンジョイしているだけ。それはそれでいいんだけど、それでいいのかな、と思って」

 SCHOOL OF LOCK!。副題は「未来の鍵を握る学校」。あえて「鍵を“開ける”学校」にはしなかった。鍵を開けるかどうか決めるのは、1人1人の子ども達だから。

 「殻にこもったままでもいい。鍵は閉めてたままでもいい。ただ、部屋の鍵に誰かが触って、ジャラって音がしただけでいいかな、と」

 ジングルのところどころに、「ジャラッ」という鍵の音が入る。そこに鍵があると知って、右に回すか、そのままにするか、左に回すか決めるのは、子ども達自身だ。

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 「例えばニートの特集の時、電話で話した子は1人か2人。でも同じ立場の人が何十人も聞いていて、『自分なら』と考えてくれてたと思う」――考えた結果、ニートのままこもるならそれでいいし、明日から頑張るならそれもいい。

 インタビューの最後に、森田さんはぽつりとこう言った。

 「切なる願いは、子ども達に、『どうか生き延びて下さい』ということ」

――火曜日レギュラーだったBUMP OF CHIKENの藤原基央さん。レギュラー交代前の最後の放送で、リスナーに語り掛けた。

 「どうか、鍵かかったままでいいので、なんとなくでもいいので、生き延びてください」

 「中には、自殺とか考える人も多いと思う。でもいつか死ぬんだよオレら。どうせ死ぬんだから、生き延びてほしいんだよね。適当でいいし、のんびりでいいし」

 「これはほんと、個人的なお願いだけど、キミの得になるならないは置いといて、オレのために、生き延びてほしいと、言いたいです」

 その後、校長は語った。

 「しんどい奴らがいっぱいいて、死にたい奴もいっぱいいるだろうと思う。『死にたい』と送ってくるリスナーも、いっぱいいる」

 「多分ラクなんだよ、死んだら。しらねーけど多分。でも絶対ね、ラクさせないもんね、そんな奴らに」

 「オレ本当、長生きしようと思ってるからね。恥さらして生きていこうと思ってるから。オレもホント恥さらして生きてるし、お前らも恥さらして生きろと。で、そういう奴らに向かってオレはちゃんと心込めて伝えてるから。お前らの耳にオレ、心を込めてちゃんと毎日話してるから。恥さらしながらも」

――この回に、感想メールが山のように寄せられた。

 「心に染みた。いっぱい泣いた。生きなきゃいけないって改めて思った」(17歳女性)

 「SCHOOL OF LOCK!があって良かった。校長の言葉、突き刺さりました。生きるのが辛かった。もちろん今も辛いですけれど今日のラジオを聴いて、絶対生きてやるって思えました。一生懸命生きます」(17歳女性)

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