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» 2006年01月27日 15時28分 UPDATE

料金据え置きで通信速度を3倍に――ウィルコム

ウィルコムは新変調方式を導入し、最大通信速度を従来の1.6倍に引き上げる。また1xパケット方式(最大32kbps)を料金据え置きで2xパケット方式(最大64kbps)に高速化する。

[園部修,ITmedia]

 ウィルコムは、現在「つなぎ放題[1x]」とウィルコム定額プランのオプション「リアルインターネットプラス[1x]」で提供している1xパケット方式の通信方式を2xパケット方式に変更し、通信速度を最大32kbpsから最大64kbpsへと引き上げる。これに伴う料金の改定はないため、月額料金は据え置きで通信速度のみが速くなる。同社はこの発表に合わせ、料金プランの名称を「つなぎ放題」「リアルインターネットプラス」に変更した。

Photo 2月1日から、1xパケット方式の料金で2xパケット方式が利用可能になる。料金はそのままで、速度が2倍に向上する。さらに、後述するW-OAM対応の新端末を利用すれば、W-OAM対応エリアでは速度が1.6倍になり、1xの料金で最大102kbpsでの通信が可能になる。

 対応端末は、4xおよび8xパケット方式に対応している機種とデータ通信カード、AIR-EDGE IN搭載の各製品。1xパケット方式での通信にしか対応していない旧機種では、従来通り1xでしか利用できない。新サービスはウィルコムのインターネット接続サービス「PRIN」を利用しているか、ウィルコム経由(音声端末)の場合は2月1日から、そのほかのプロバイダーを利用している場合は4月1日から徐々に開始される予定だ。なお、データ通信カードの場合、識別子を「##61」から「##64」に変更する必要がある。

通信方式データ通信カード音声端末AIR-EDGE IN
8x対応端末AX520N、AX510N
4x対応端末AX520N、AX510N、AX420N、AX420S、W-SIM、AH-H407P、AH-S405C、AH-F401U、AH-S405C、AH-H403C、AH-H402P、AH-N401C、AH-H401C、AH-G10WX-310K、WX310SA、WX310J、W-SIM、AH-J3003S(※AH-J3003SはPC接続時のみ)FMV-BIBLO LOOX T60D/W、FMV-BIBLO LOOX S80C/W、FMV-BIBLO LOOX T93C/W、FMV-BIBLO LOOX S80B/W、FMV-BIBLO LOOX T93B/Wなど
※これらの端末で「つなぎ放題[1x]」「リアルインターネットプラス[1x]」を利用中のユーザーが対象

 また同社は、2月下旬以降、順次高度化PHS通信規格「W-OAM」(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)という名の新変調方式を導入し、データ通信速度を最大1.6倍に引き上げると発表した。こちらも料金は据え置き。ただし、W-OAMは対応基地局と対応データ通信カード間でのみ利用でき、従来のデータ通信カードやW-OAM非対応の基地局では利用できない。

 W-OAMに対応した新しいデータ通信カードとしては「AX520N」「AX420N」「AX420S」の3製品が発表された(1月27日の記事参照)。NECインフロンティア製のAX520N(PCカード型)とAX420N(CFカード型)は2月下旬、SII製のAX420S(CFカード型)は3月中旬に発売予定で、価格は未定。

 W-OAMに対応した基地局とデータ通信カード間では、8xパケット方式で最大408kbps(現在は256kbps)、4xパケット方式で最大204kbps(現在は128kbps)、2xパケット方式で最大102kbps(当初は64kbps)での通信が可能になる。対応エリアは通信量の多い都市圏から徐々に拡大していく。

Photo W-OAMの導入により、最大通信速度は1.6倍に上昇する。基地局に近く、電波状態が良好な環境では2xで102kbps、4xなら204kbps、8xでは408kbpsでの通信が可能になる。

 W-OAMとは、電波の状態に合わせてより高速な変調方式を自動選択する適応変調を用いた技術だ。PHSでは、同時に2ビット分の情報を送信できるQPSKという変調方式を利用しているが、新たに8PSK(同時に3ビット分の情報を送信可能)とBPSK(1ビット分の情報のみ送信可能)という変調方式を組み合わせて利用できるようにする。これにより、電波状態の良好な場所では8PSKを用いてデータ転送速度を向上させられる。そして、ビルの陰や基地局から遠い場所など、電波状態の悪いところではBPSKを用い、速度は落ちるものの通信品質を安定させることが可能になる。

 変調方式をQPSKから8PSKに変えると、単純計算で約1.5倍のデータが転送できるようになる。とはいえ、オーバーヘッドはそれほど変わらないため、これをのぞいた実際のデータ転送速度は1.6倍程度速くなる。このため、W-OAMに対応した基地局と端末間では、例えば8xパケット方式なら最大256kbpsだった通信速度が最大408kbpsに高速化できる。逆にBPSKにすると通信速度は半分以下の最大104kbpsにまで落ちるが、高速通信用の変調よりもエラーに強く、実行速度は上がる。電波到達度も改善され、より安定して通信が行えるようになる。

Photo W-OAMは、適応変調を採用した最新の通信技術だ。電波状態に合わせて、変調方式を選ぶため、状態のいい場所では速く通信でき、悪い場所でも通信の品質を維持できる。

 対応基地局の設置は、2004年から大都市近郊のトラフィックの多いエリアを中心にすでに進んでいる。ソフトウェアをダウンロードすればすぐに対応可能な基地局も多い。

 なお、今後は16QAMや64QAMといった、さらに高度な多値変調を導入し、12xや16xのパケット方式と組み合わせ、1Mbpsを超える最大データ転送速度を目指す。

 このほか、2月1日から順次、PRINのTCPプロトコルを「W-TCP」に変更する。これにより、従来よりも効率的にデータを転送できるようになり、快適な通信が可能になる。W-TCPは、Wireless TCPとも呼ばれる、無線通信向けにチューニングされたTCPだ。TCPでは、パケットの遅延やロスが生じると、問題が発生したパケット以降のパケットをすべて再送する。そのため正常に受信できたデータの再送が発生しやすいが、W-TCPではロスしたパケットのみを再送することで無駄を省き、全体的なスループットの向上を実現する。

Photo PRINのTCPプロトコルを、W-TCPに変更することで無駄なデータの転送を減らし、さらなるスループットの向上を目指す。

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