外観をテレビのようにするために、2軸ヒンジも新規に開発した。液晶を表に出して横向きにしたとき、ヒンジ部が見えてしまってはテレビっぽくない。表面をフラットにし、なおかつ画面の左右にスピーカーがあるかのようなデザイン(実際には、スピーカーはヒンジ側にしか搭載されていない)を実現する必要があった。そのため、液晶部が大きく動く、「PENCK」と同じような構造のヒンジに回転機構を組み合わせた。
また上杉氏は「液晶ディスプレイ部に採用した極薄の『2色成形』は我々の新技術」といって、ディスプレイの外装部分を外したものを見せてくれた。通常の2色成形(ダブルモールド)は、1ミリから場合によっては数ミリの厚さのクリアパーツになるが、W41Hの外装に採用した2色成形パーツは透明層の厚さが0.5ミリしかない。「この薄い2色成形によって、通常の塗装では出せない深みを持たせることができた。従来使用していたUVトップコートでは厚さが10ミクロンにしかならないが、W41Hの外装には奥行きがある」
この2色成形の技術は、ディスプレイをより大きく見せるという役割も果たしている。ディスプレイ面には、保護用のパネルなどを別途取り付けることが多いが、W41Hでは2色成形のパーツをうまく利用して、ディスプレイ面全体をフラットに仕上げている。
前述したとおり、ボディサイズをある程度小さくしなくてはならなかった関係で、端末の内部には所狭しと部品が詰め込まれている。またワンセグチューナーは、一般的な携帯電話より電力消費量が多いパーツだ。消費電力の大きさは、発熱の大きさにつながる。機器が正常に動作するために、またユーザーが使用中に不快感を覚えないようにするために、内部の放熱対策にも頭を悩ませたという。
上杉氏は「発熱を抑えるため、実はヒンジの部分にラジエーターの役目を果たすパーツを用意している」と端末を分解したモデルを見せてくれた。下の写真を見ると分かるとおり、ボディー内のマグネシウムフレームが、ヒンジのところだけ外側に露出している。
このほか、ダイヤルキーの下にマイクのような穴が空いているが、マイクは折りたたみ時も通話できるようヒンジ寄りに設けてある。「この穴も通気用として開けている」のだと上杉氏はいう。もう1カ所、ロッドアンテナの格納部にも通気のためのスリットがある。これらの工夫を凝らすことで、基準をクリアするレベルに端末の発熱量を抑えた。
もちろん工夫はこれだけにとどまらない。W41Hの最大の特徴であるワンセグ視聴機能は、アンテナからソフトウェアに至るまで、ユーザーが快適に使えるように、細部にまでこだわって作り込まれている。こちらについては次回改めて紹介する(続く)。
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