それでは、ツールボックスに用意されている各機能の概要を紹介しよう。
電話帳の一覧は、グループと読み順で表示でき、個人情報もサムネイルとリストによる表示が可能だ。また、端末の自局番号や自分の個人データを「マイプロフィール」という項目で扱え、電話帳データのQRコード作成機能も付属する。なお、プッシュトークの電話帳はサポートしていない。
サポートしていないデータ項目がある端末を接続すると、画面上ではその項目がグレーアウトして使えないことが分かる。また、フォルダ構成が違う端末にデータを移行すると、対応していないフォルダの内容をほかのフォルダにマージして読み込む。
メールは、多くのメールソフト同様に2つのペインを表示するタイプで、左にフォルダ、右にメールリストを表示する。電話帳に送信者・宛先アドレスを登録している場合は、そこから名前を参照して表示するほか、さらに所属する電話帳グループも表示可能だ。メール本文からQRコードを生成でき、コードを読み取ると宛先と件名が記入された新規メールを作成できる。メールデータはOutlook/Outlook Express形式のデータとしての入出力にも対応する。
スケジュールツールはほかのツールのデータと連動しているのが特徴だ。月・週表示では、その日のメールに添付している写真(月表示では1枚のみ)やiモーションの件数、メール送受信数を表示。日表示ではさらに、受信メールの件名/宛先/差出人/時刻まで表示する。行動予定だけでなく、携帯電話による活動記録を自動的に生成するのはおもしろい機能だ。
これらの項目を表示したくない場合は、個別に表示のオン/オフを設定できる。予定の項目は「予定」と「ToDo」を作成できるが、富士通製端末などToDo機能がない端末にはToDoを転送できない。
ほかのPIMソフトとのデータ交換も可能で、CSVとOutlook形式の読み込みと書き出しに対応している。欲を言えば最近利用されることが多いiCal形式への対応を望みたいところだ。
スケジュールで設定できる定期パターンは、毎日/週/月/年のみと単純。Outlookなどにある、複雑なパターンは開始日のみインポートする。また、繰り返してインポートを行うと、スケジュールを重複して登録してしまうので注意が必要だ。
端末の仕様に従う必要がある以上やむを得ない部分もあるが、Outlookと同じように管理できないことから、ビジネススケジューラとして使うにはやや厳しいという印象だ。
ブックマークは、iモード用とフルブラウザ/WLANブラウザ用を分けて管理する。フルブラウザ/WLANブラウザ用のブックマークは、端末が対応していなくても管理するが、利用できない場合は赤い×印のアイコンを表示する。各ブックマークには「ブラウザで表示」ボタンがあり、PCのブラウザからそのWebページにアクセスができる。また、ブックマーク項目をQRコードに変換する機能も付属する。
マイピクチャでは端末から取り込んだ画像をフォルダ単位で管理できる。表示方法はリスト形式とサムネイル形式が選択でき、スライドショー機能も付属する。デコメールの画像などに使われるGIFアニメのアニメーション表示には対応しておらず、今後の対応が望まれる。
マイピクチャには、一般的な画像編集機能が一通り揃っているほか、待受画面作成機能もあり、最後に接続した端末用のフレームを使って画像のトリミングを行えるのが便利だ。PCで手軽に待受画像を作成したい場合に便利な機能だ。
iモーションツールは、MPEG-4/3GP/ASF/M4A/SDV形式の動画ファイルが管理できる。ただし、動画変換機能は備えておらず、再生にはQuickTime Player等の対応ソフトが必要となる。
datalinkのマイピクチャ機能とiモーション機能は、端末の外部メモリへアクセスできる。これは、携帯電話の外部接続モードを「miniSDモード」に切り替えて使用する。モード切り替えの操作をしなくてもアクセスできるとより簡単なのだが、端末の仕様上難しいだろう。
なお、内蔵/外部メモリいずれの場合でも、著作権保護されたデータを読み込むことはできない。購入した音楽ファイルなど著作権保護されているデータは、Windows Media PlayerやNapsterなど、専用のソフトウェアを使って管理することになる。
メロディはMID形式とMLD形式のメロディデータを管理するツールだ。着うたなどの音声データは前述のiモーションで扱う。こちらもデータの再生には対応する外部ソフトが必要となる。
PDF等のドキュメントファイルを管理するツール。フォルダ・ファイルの位置構成と名称変更が行える。
インターネットツールはIEコンポーネントを利用したWebブラウザだ。左ペインにNTTドコモのトップページやドライバ、アプリケーション、取扱説明書のダウンロードページのURLが登録されている。datalinkをメインのブラウザとして使うことはあまりないと思うが、携帯に関する作業を行っている際に、キャリアのページへ簡単にアクセスできるのは便利だ。
datalinkは見た目も操作性も統一されており、ドラッグ&ドロップや複数選択などWindows標準の操作も可能なユーザーインタフェースを備えている。
携帯ユーティリティとしてはごく一部の端末依存機能を除き、ほぼすべての項目を扱え、取りこぼしはない。大量のメールや写真を取り込んだ状態では、起動時やツール切り替え時に動作のもたつきを感じるが、それ以外では気にならないくらいで許容範囲だろう。
データを暗号化するなど、個人情報流失の事件が頻発する昨今の情勢を踏まえたセキュリティもあり、ドコモの携帯と組み合わせる個人情報ツールとしては理想的な存在だ。
スケジュール機能に関して言えば、高度な設定ができないこと、常にOutlookと同期するような使い方が現実的ではないこと、グループスケジューラにはなり得ないことなど、ビジネス向けに使うには厳しい面がある。
しかし、写真やメールの送受信履歴までスケジュール内で管理できるなど、プライベートスケジューラとしては非常に優れている。特に自分で入力しなくても、携帯電話をつなぐだけで日々のコミュニケーションや写真・動画などが日記のように記録されるのは便利だ。
今後はプライベートスケジューラとしての強みをいかし、Web日記やブログアップロード機能など、現代の携帯電話の特性を生かすコミュニケーションツールとして拡張することで、さらなる可能性が見えてくるのではないだろうか。自動バージョンチェックとアップデート、モジュール化されているツールの追加機能も搭載されており、今後の発展も大いに期待できるユーティリティに仕上がっている。
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