インタビュー
» 2006年11月30日 00時10分 UPDATE

道具に “ココロ”があるような愛嬌を──カシオ携帯の“ペンギン”“顔”が生まれるまで (1/2)

「W41CA」の「ペンギン」、「A5512CA」の「顔いろいろ」などユニークなプリセットコンテンツで知られるカシオ端末。熱烈なファンを持つ、このプリセットコンテンツの生みの親である城聡子氏に、発想の原点とこだわりについて聞いた。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo 「W41CA」の「ペンギン」、「A5512CA」の「顔いろいろ」を生み出したカシオ計算機デザインセンター 第四デザイン室の城聡子氏

 高機能化の果てに“いつも肌身離さず持ち歩くパーソナルツール”という姿に行き着いた携帯電話。こうした進化に伴い、携帯電話が“愛着を持って使える道具”であることを望むユーザーが増えてきた。ここ1〜2年で著名なデザイナーを迎えて開発する端末が増えたのも、パーソナルツール化の流れの1つといえるだろう。

 こうした中、携帯電話のプリセットコンテンツの可能性にいち早く着目し、携帯ならではのコンテンツづくりに注力してきたのがカシオ計算機だ。2005年7月に発売した「A5512CA」の「顔いろいろ」、2006年2月から店頭に並んだ「W41CA」の「ペンギン」は熱烈なファンを生み、新端末での登場を期待する声が後を絶たない。

 ユーザーを魅了するプリセットコンテンツ作りの原点はどこにあるのか、アイデアはどのようにして生まれたのかを、「顔いろいろ」「ペンギン」の生みの親であるカシオ計算機デザインセンター 第四デザイン室の城聡子氏に聞いた。

“丁寧に描いた絵を入れる”のがプリセットコンテンツではない

 「携帯電話は不特定多数のユーザーに向けた超大量生産型のプロダクト。だから誰からも嫌われない、差し障りのないコンテンツが入っている時代が長かった」──。城氏は、携帯のプリセットコンテンツについて、こう振り返る。そして携帯と人との距離が急速に近づいていく中、当時のプリセットコンテンツのあり方に疑問を感じたのが、“携帯ならでは”のコンテンツ作りの始まりだったという。

 「例えば、(当時の待受画面にありがちな)椰子の木の生えた『どこの南国?』みたいなポストカードをわざわざ購入して友達に送ることがあるかというと、自分ではまずあり得ない。こういうおざなり感たっぷりの典型って、誰が決めて誰が喜んで“お約束化”するのだろう?と思っていました」(城氏)。そんな、当時のコンテンツへのアンチテーゼ的なところで生まれたのが、カシオのプリセットコンテンツというわけだ。

Photo 「W41CA」の「ペンギン」

 コンテンツを作る上で大事にしているのは、「外観デザインや機能といったそのモノ自体の個性と共鳴して、その携帯らしさを表現すること」と、「人の生活に本当に密着型のこの道具ならではの、ちょうど良い温度感や親密感」だと城氏。「携帯電話は、いつも手の届くところにあって、手持ち無沙汰でなんとなくいじっていたりするような、日常使いの道具の中でもちょっと変わったポジションにある。最初のプロジェクトになったA5512CAの“顔いろいろ”は、ふと端末を開いた時に、和んだり、楽しかったりするようなものがあったらいいのにな、という思いから生まれたキャラクター」(同)

 また、「パートナーシップ、良き相棒的な親近感を感じて頂けるような、生命感のようなところは、“顔いろいろ”も“ペンギン”も意識して作っている」という。端末を開けるたびに、さまざまな仕草や表情を見せる“顔いろいろ”は、「携帯の形をした“この子”」(同)という想いでつくっており、「“顔のヒト”の1日、1年を表現した時間や季節に同期させたさまざまなアニメパターンを入れました」と、こだわりもひとしおだ。

Photo 「A5512CA」の「顔いろいろ」。端末を開くたびに異なる表情を見せる

 これらのコンテンツは、150K程度の小さなデータ容量制限の中で、効果と効率を熟考してデザインしたイラスト類をパーツ部品のように組み合わせの工夫によってやり繰りし、膨大な絵コンテを作成してストーリー性や動きのニュアンスに至るまでを細かに検討を重ねて製作しているという。1つの端末に何十という展開パターンが入っているので、それは途方もない作業量になるが、これも、無機質になりがちなデジタルツールに、温度感や有機的な表情を持たせたい、という城氏と同社の担当デザイナーたちのこだわりだ。

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