インタビュー
» 2006年12月07日 00時10分 UPDATE

開発陣に聞く「SO903i」(携帯機能編):ソニエリだからできた“ケータイ三位一体改革”──開発陣に聞く「SO903i」 (1/2)

音楽機能に注目が集まりがちな「SO903i」だが、「それだけではない」とソニエリ開発陣。ボディデザイン、ライフタイムカレンダー、カメラ、ユーザビリティなど、コミュニケーションツールとしてのこだわりについて聞いた。

[後藤祥子,ITmedia]

 みんなが携帯で音楽を聴かないのはなぜか、どうすれば“携帯で音楽”がもっと身近になるのか──。こうした課題のもと、ポータブルオーディオプレーヤーに劣るといわれる部分をリストアップし、それに取って代わるレベルの使用感と操作性を持つ端末作りを目指したのが「SO903i」だ。

 ボディデザインや、多彩な圧縮フォーマットに対応した音楽プレーヤー、1Gバイトの内蔵メモリといったスペックから音楽機能ばかりに注目が集まるが(11月29日の記事参照)、実はコミュニケーションツールとしての使いやすさや楽しさ、利便性向上を意識したさまざまな工夫も盛り込んでいる。

 SO903i開発者インタビューの後編では、“コミュニケーションツールとしてのこだわり”について聞いた。

Photo 「SO903i」の開発陣。後列左からアプリケーション開発部の阪東氏、クリエイティブデザインセンターの平野氏、ドコモ商品部プロダクトマネジャーの白川氏。前列左から商品企画部の安達氏、ドコモソフトウェア開発部の佐藤氏

コンパクトの次は“音楽、カメラ、大画面の三位一体”

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、2006年3月に最初のFOMA端末となる「SO902i」をリリースした。FOMAへの参入こそ他メーカーに遅れをとったものの、90xi系のハイエンドFOMAとしては初となるコンパクトなストレート型端末を投入して差別化を図り、ユーザーのニーズを捉えた。以降もコンパクトさがウリの折りたたみ型着せかえ携帯「SO702i」や、小型の防水FOMA「SO902iWP+」の投入で、小型プラスアルファのスタイルを提案している。

 そして4機種目となるSO903iの開発に当たり“コンパクトの次のステップは、何なのか”と考える中で生まれたのが“音楽、カメラ、大画面の三位一体携帯”というコンセプトだと、ソニー・エリクソン・モバイル ドコモ商品部プロダクトマネジャーの白川浩氏は話す。「音楽、液晶、カメラはSO903iの3本柱。どこも妥協してない作りで、それをバランスよく見せたいと考えた」(白川氏)

 携帯コンテンツのリッチ化が進む中「ソニーが開発を進めていた3インチディスプレイや(7月31日の記事参照)、手ブレ補正付きのカメラを、1つの端末にぜいたくに入れたらどんな商品ができるだろう」という思いもあったと安達晃彦氏は振り返る。その言葉通りSO903iには、“ソニエリ端末の新時代”を予感させるさまざまな機能が盛り込まれた。

 音楽機能は多彩な圧縮方式に対応するとともに、ウォークマンで培ったソニー独自の低消費電力技術「Virtual Mobile Engine」を採用することで、最長47時間の連続再生を実現。3インチのディスプレイにはソニーの薄型テレビ「BRAVIA」の技術を応用した高画質エンジン「RealityMAX」を搭載し、写真や動画閲覧時の色再現性を向上させた。カメラも静止画/動画ともに手ブレ補正に対応した、ソニー製のオートフォーカス機構付き320万画素CMOSを採用している。そしてこの端末のキャッチフレーズは、「3つのAV機能が結集した“PREMIUM AV”ケータイ」に決まった。

 “3つの機能をバランスよく見せる”というコンセプトは、端末デザインにも現れている。「完全に音楽プレーヤーというだけのデザインに終わらせたくなかった」と話すのは、端末デザインを手がけたソニー・エリクソン・モバイル クリエイティブデザインセンターの平野晋作氏だ。

 「端末を縦にして使うときは音楽プレーヤー、横にすると1.5インチのサブ液晶をファインダーにしたカメラとして使えるように作った。底面のデザインは一見するとデジタルカメラそのもの。カメラだと分かる見せ方にすることで、“横にして使う”というのが直観的に分かる」(平野氏)

sa_so21.jpgsa_so22.jpgPhoto 表は携帯の顔、裏はカメラの顔を持つ

Photo 端末を開くと、それぞれの顔の違いが明確に分かる。音楽操作用の9つのキーにはそれぞれ2つのLEDを搭載し、端末開閉時や操作時にきれいに光る
sa_so06.jpgsa_so07.jpgPhoto “三位一体”をつなげるデザインのエッセンスとして用いたのがサークル(円)だと平野氏。カメラのレンズ周りや音楽操作用のキー、決定キーなどに取り入れることで「別々の顔を持ちながら、1つの端末として統一感があるようにした」と話す。全体のデザインは、際立たせるところはエッジを立たせ、手に当たる部分は角を落とした「やわらかいものをスパッと切った感じ」に仕上げた

 背面に1.5インチのディスプレイと、音楽操作用の9つのボタンを備えることから、開発当初は閉じたままメールなどの情報を確認できる仕様にすることも検討していたというが、「新しい操作を覚えなければならないという抵抗感が出てくる」(安達氏)ことや「あまり手を広げすぎて、中途半端なものにしたくなかった」(白川氏)との理由から今回は見送られた。

 「最初の段階で、(閉じたままあれもやりたい、これもやりたいと)どんどんふくらんでいって。ただ、それをつきつめると、(ストレート端末やスライド携帯みたいな仕様になってしまい)“背面だけでいいじゃん”という話になってしまう(笑)」(白川氏)

 「(閉じた状態の操作を音楽とカメラ専用にしたことで)端末を開いた状態でメールを書いている最中でも、端末を閉じると音楽系の操作がすぐできる。物理的マルチタスクで使えるのは、音楽携帯として使い勝手がいい」(安達氏)

 ただ「『SO505iS』が閉じたまま通話できたのに加え、一見するとSO903iはSO902iやpreminiシリーズのように見えるので、ソニエリ端末ユーザーの方々が、便利だった機能を素直に求めているのだと思う」(安達氏)と、閉じたまま情報を見たいというニーズがあるのも分かるという。「音楽にフォーカスした最初の端末なので、今回は“音楽は音楽で完結しよう”と割り切った。今後、改善が必要だということになれば、ユーザーの声も取り入れつつ、もっといいものを作っていきたい」(白川氏)

Photo ボディのカラーリングは音楽がキーワードになっている。「ブラックは音楽を奏でるAV機器としての色や質感を重視。白は音楽を聴いたときのすがすがしい気持ちをイメージしたニュートラルなところを狙っている。オレンジは音楽の持つエネルギーや躍動感を表現しており、シルバーは地下でドンツクやっているクラブとかテクノなどのインドア系音楽をイメージした。シルバーに使われているイエローはネオン管の光のような配色」(平野氏)

コンテンツもソニー系

 SO903iは、プリセットコンテンツもソニー系のものが採用されている。プリセットゲームがSCEの「みんなのGOLF2+ for SO」、キャラ電がSo-netのポストペットに登場する「モモ」──といった具合で、まさに“ソニーの技術とコンテンツがてんこもり”といった趣だ。

Photo プリセットコンテンツもソニーづくし

着信音に“バイブの音”が

 SO903iのプリセットコンテンツで、ちょっと面白いのが「Vibe×Vibe」。バイブレーター動作時の「ブルブル」音を着信音にしたものだ。「マナーモードに設定し忘れたときに便利です」(安達氏)


カメラ機能のこだわり

 3つのAV機能の一角を担うカメラ機能は、スペックだけ見るとハイエンドモデルの平均的なものだが、実はいくつかの工夫が凝らされている。

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