トルカもQRコードもnapsterも、目指すのはno music, no life――タワーレコード(後編) (2/2 ページ)

» 2006年12月19日 00時01分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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 ナップスターの狙いについて、五味氏は「我々が一番大切にしているメッセージは“no music, no life”なんです」と言う。「我々が目指しているのは、どんな場面でも音楽を提供できるプラットフォームを持つことなんです。“すべてのお客さんに満足してもらえる品揃えをしたい”という思いは、店舗もナップスターもまったく同じです。音楽配信もするし、CDを販売するサイトも展開している、そしてもちろん店舗もやっている。お客さんのニーズに合わせて、音楽を楽しんでもらえることが大事なはずです」

 音楽CDを販売するタワーレコードが、オンラインで音楽を配信することを「聴き放題サービスを提供したら、音楽CDが売れなくなるのではないか」と不思議に思う人もいるかもしれない。実際、音楽CDを制作するレコード会社は音楽配信サービスに対して懐疑的で、ナップスターでも邦楽ラインアップのうちかなりの割合が買い切り型のNapster a la carteになっているのが現状だ。

 「家にいながらにして、いろいろな音楽でも浴びるように聞くことができる。こんなに楽しいことはないですよね。タワーレコードの店舗にはCD視聴機を置いています。ナップスターでやっていることは、あれの超巨大なものだと思ってほしいんです。ナップスターにはショップのリコメンドというコーナーがありますが、あれをもっともっと厚くしていきたい。店舗としてのオススメをもっと伝えたいと思っています。店舗でやっていることと、ナップスターでやっていることは、突き詰めれば同じなんです」

タワーレコード渋谷店では、1階の奥にnapsterコーナーを設けている

ナップスターも携帯サイトも、店舗へお客を誘導する力になる

Napster To GoではWindows Mediaの著作権管理機能を利用しており、Napsterの期限が切れてしまったあとで携帯やポータブルオーディオに転送しておいた楽曲を再生しようとすると「再生できません」とメッセージが出る。従って「Napsterの聴き放題で知った音楽を、店舗で購入する」という誘導が可能になるのだ。もちろん、Napster a la carteで購入した楽曲には再生期限はない

 音楽配信を進めることは、音楽CDの店舗販売を阻害するどころか、むしろ追い風になる、というのが五味氏の主張だ。「ニーズに合わせて、曲単位で買ってもらってもいいし、聴き放題でもいい。パッケージ(音楽CD)の大切さは変わりませんから、(ナップスターで聴いて)気に入ったものはお店で買ってくれればいい」と話す。

 トルカやQRコードで誘導しているタワーレコードのモバイルサイトでは、店舗情報やキャンペーン情報を重点的に載せている。その理由は、“自分の足で店舗へ来てほしい”からだ。店頭では無料の音楽情報冊子が配布され、商品が並ぶ棚には、ショップスタッフのリコメンドを書いたPOPが貼ってある。たしかに、ショップにはショップでしか得られない楽しさがある。

 「音楽配信が普及しても店舗に来る楽しさは変わらないし、積極的に店舗への誘導を進めたいと思っています。ナップスターも携帯も、根っこの部分は同じ。結局のところ、私たちが言いたいことは“no music, no life”これに尽きるんです(笑)」(五味氏)

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