“アクオスケータイ”の変形ぶりには感心したが、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製「W44S」の横開きスタイルもなかなかのもの。
ヒンジのパーツが横に出っ張るので、ポケットへの出し入れのほか、ケータイ収納ケースなどに入らない自体も起こりそうだが、縦/横どちらにも開けるというアイデアは面白い。
そのため、この横向きに開く「モバイルシアタースタイル」でカメラが使えるということに注目したのである。
W44Sを横向きにして開く「モバイルシアタースタイル」にすると、ワンセグやデジタルラジオなどが起動できる専用のメニュー“シアターメニュー”が表示される。そこに「カメラ」の項目はない。
しかし案ずるなかれ。右側面にある[カメラ]キーの長押しで、きちんとカメラが横向きでも起動するようになっている。こうすることにより、上に3インチのワイド画面、下にボディというユニークなスタイルで使えるデジカメに変身する。
VGA(640×480ピクセル)以上のサイズでは画像も横位置で記録され、かつ1920×1080ピクセルとなるフルHDサイズのワイド写真も撮れる。
ところでいざ撮ろうとしたときに気が付いた難点が2つ。ディスプレイと本体の間の隙間がけっこう狭いのだ(指1本分ほど)。指を立てて構えられるほどの間隔がない上に、半押し対応のシャッターボタン([カメラ]キー)をやや深く押す必要があるため、人によっては慣れるまでちょっと押しづらいかもしれない。
もう1つ、本来はこのようなスタイルで撮ることを想定していなかったのか、メニュー類は縦位置(つまり、横向き)で表示されてしまうのが惜しい。横向きでも内容は判別でき、操作も行えるために致命的ではないとはいえ、せっかくこの独自のスタイルで使用できるのなら「モバイルシアタースタイル」でのカメラ撮影用メニューも用意してほしかった。次のモデルはその辺もよろしくという感じである。
しかし、それ以外はなかなか快適に使えるのに驚いた。
回転2軸ボディの端末(W44T、W41CA、910SHなど)の場合、ディスプレイ部を裏返して横向きで構える「デジカメスタイル」で撮れるが、それだとダイヤルキー類が使えない欠点もある。ダイヤルキーやソフトキー類に割り当てられるキーショートカットがあるか否かで、特に携帯カメラの場合は使い勝手も大きく変わる。
この点、W44Sのスタイルなら画面通りの横位置で撮れるのはもちろん、各種設定機能へのショートカットが割り当てられたダイヤルキーもフルに使える。また、構図決定の補助になるグリッド線を表示できるのもデジカメらしくていい。
撮像素子は317万画素CMOSでAF(オートフォーカス)付き。最大画像サイズは3Mモード時で2048×1536ピクセルとなる。ちなみに手ブレ補正機能を“オート”にすると、周辺を手ブレ補正用に使うため若干サイズが小さく(2000×1500ピクセル)なる。もちろん実用上の差はほとんどないので、手ブレ補正は“オート”で差し支えないだろう。ちなみにこの手ブレ補正はけっこう効く(次ページ以降の作例参照)。
そのほか、同社製携帯カメラ独自の「BestPic」機能も搭載する。ドコモ向けの「SO903i」(カメラレビュー参照)にも搭載されているこの機能は、約1秒間に計9枚(シャッターを切った瞬間と、その前後4枚)を連写し、そこから好きな写真を選んで保存できるもの。残す写真は“Best”な1枚に限らず、複数枚でも、9枚全部でもいい。単なる連写機能より便利だし、3Mのフルサイズで撮れるのも評価したい(ほかの連写可能な端末では、小さいサイズに設定しないと連写できないこともあるため)。動きの多い被写体──例えば子どもや動物などを撮るときは非常に便利ではないだろうか。
記録メディアはメモリースティックDuo。W44Sには、SO903iのようなminiSDとメモリースティックDuo兼用スロットは採用されなかった。携帯の多くがmicroSDへ移行しつつある中、ソニー・エリクソン・モバイル製端末が採用する外部メモリが今後どうなるのか、ちょっと気になるところではある。
では作例を見ていこう。
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