今明かされる、三菱電機がスライドボディを採用したわけ開発チームに聞く「D903iTV」(2/2 ページ)

» 2007年04月09日 18時50分 公開
[遠藤学,ITmedia]
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“家庭用のテレビ”を目指したデザイン

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 デザインで特徴を出しづらいといわれるスライド形状だが、D903iTVではデザインのテーマを「家庭用のテレビ」とすることで、D903iとは異なるイメージに仕上げたと山名氏は説明する。

 「横画面にした時、ボタンを含む画面全体が一枚絵に見えるようにしたかった。端末表面の全体にブラックを採用したのはそのためで、ボタンの色を合わせることであまり目に入ってこないように(ボタンが必要以上に目立たないように)した。ただ、携帯として使う時は縦持ちがメインなので、縦でも横でも収まりのよい、方向性を感じないようなデザインにすることを目指した」(山名氏)

 丸みを帯びたD903iとは異なり、D903iTVはスクエアな感じに仕上げているのも大きな違いだ。同時期に発表したことから、デザインの差別化という意味合いもあったそうだが、ここでもテレビを意識したと山名氏は話す。

 「テレビのような雰囲気を盛り込もうと、直線的なスタイルを取り入れた。ただ、真四角では大きく感じてしまうので、四隅をカットしている。ワンセグ端末にふさわしいイメージをスタッフ間で話し合い、少しでもスマートに、新しい雰囲気に見えるように取り組んだ。家庭にあるテレビそのものではなく、あくまで携帯と融合した新しい雰囲気を目指した」(山名氏)

 実際にD903iとD903iTVを並べてみると、若干サイズが大きいはずのD903iTVのほうがスリムに見える。これはハイライトのエッジラインがポイントだと山名氏は言う。

 「ハイライトのエッジラインで影を作ることにより、実際よりも薄く見せている。ツートーンのブラックを強烈に見せているため、横幅もブラックが途切れたところで見えるように工夫した。D903iよりも小さくなったように見せることには成功したと感じている」(山名氏)

 幅48ミリはD903iと変わらないが、高さは1ミリほど増している。

 「幅はちょっとでも異なると持ちやすさに影響するので、変えたくなかった。高さは1ミリ異なるが、D903iは端が丸みを帯びているので高さがないように見えるだけで、それほど大きく変わっているわけではない。バランスも悪くなってはいない」(山名氏)

 カラーはメッセージ性の強い配色を取り入れたいという思いから、オレンジ、ホワイト、ライトブルーの3色を用意した。

 「D903iTVを積極的にアピールしていく色としてまずオレンジを選んだ。ホワイトは、男性寄りの機種ではあるものの、女性にも使ってもらいたいと、性別/年齢に関係のない色ということで採用した。ライトブルーは、オレンジが比較的アクティブな色なので、それとは逆のアプローチで優しい色を採用した」(山名氏)

 それぞれ異なる狙いを持って選ばれた3色だが、ツートーンのブラックはすべてに採用している。最初から全色ブラックとのツートーンにしようと考えたわけではないそうだが、画面部分を一枚絵で見せるというテーマを実現するため、思い切った戦略が必要だった。

 「画面部分を一枚絵で見せるというテーマは、どのカラーでも必要だと考えた。ハイコントラストなカラーリングは勇気のいるもので、ツートーンはブラックで統一していることも相まって思い切ったカラーリングとなった。D903iとの住み分けとして、特徴的なカラーリングにチャレンジできたというのもある」(山名氏)

photo D903i(左)とD903iTV(右)のダイヤルキー

 ダイヤルキーの形状もD903iから変わった点の1つだ。独立キーではなく、1つ1つがつながったキーを採用したのは、フレームが入った複雑な形状に見せたくなかったからだという。

 「1つ1つのキーが独立していると、どうしても目立ってしまう。複雑な形状を見せたくないが、操作性をないがしろにはできないので、しっかりと押せるサイズにしている。スライドモデルは何世代も手がけているので、新鮮な雰囲気を感じてもらえるように新しいデザインを採用した」(山名氏)

“いつものD端末にワンセグが入っている”というアプローチ

 ドコモのワンセグ端末の中で、最もコンパクトなワンセグ携帯としてデビューしたD903iTV。発売から1カ月以上が過ぎた今、男性層だけでなく女性層にも訴求したい考えだ。

 「現状、D903iTVを購入する人は男性8、女性2ぐらいの割合。対してD903iは半々ぐらい。男性向けに仕上げたのは確かですが、女性をないがしろにしているわけではありません。もう少し女性にも売れてほしい」(永柄氏)

 D903iベースの端末で、女性の手でも持ちやすい幅48ミリを維持しており、永柄氏の言葉は偽りではないことが分かる。また、トータルコーディネイトの1つには「nail」というテーマがあり、女性も忘れてないことはうかがえる。GPSと3Gローミングには非対応ながら、内蔵コンテンツは基本的にD903iと一緒であり、言うなれば“おなじみのDにワンセグが載った”に過ぎない。

 「トータルコーディネイトなどは店頭モックなどで伝わらない。触ってもらえればいつもの“D”として楽しんでもらえるはずだが、そこまで伝えきれていない」(永柄氏)

 「アンテナも女性は手が当たる感覚などで好き嫌いが分かれてしまうが、外付けなのでその心配もない。“ワンセグだから大きくなってしまいました”ではなく、D903iとほとんど変わらないサイズ。普通の携帯としても使えるものになっている」(山名氏)

photophoto 「nail」の待受画面(左)とメニュー画面(右)

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