2006年10月に発表されたShineは、チョコレートフォンと同じブラックラベルシリーズとして企画した野心作だ。発売直後には韓国で1日1000台以上を売り上げ、2007年1月の海外販売開始後には、欧州で4週間で20万台を売るなど好調に推移。この5月に全世界の累積販売台数100万台を達成した。Shineは、発売から現在まで地上波DMBを追加したり、ストレートタイプのバリエーションをロシア向けに発表するなど、さまざまなバリエーションを生み出している。
ブラックラベルシリーズの特徴は、マーケティング面にも現れている。2006年6月に発売したスペシャルエディションの「チョコレートフォン II」では、ディスプレイ下のゴールドプレートに購入者の名前を彫るサービスを実施。さらに、革製品などで有名なブランド「S.T. Dupont」の皮製ケースも提供した。
またShineは、BMWと共同マーケティングを行い、BMW売り場にShineの体験ゾーンを設けている。この取り組み以前にも、BMWの広報用映画にShineが登場するなど、共同マーケティングは以前から行われていたようだ。
ブラックラベルシリーズ以外にもLG電子では、ユニークなデザインの携帯電話を販売している。
チョコレートフォンやShineの路線を受け継ぐものとして、黒地の本体にLEDが浮かびあがるものや、メタリックな質感の携帯電話をいくつかリリースしている。ヒットした端末のデザインを応用した例といえるだろう。これらとは異なるが、端末を顔の輪郭に合わせ、バナナのようなカーブをつけた「バナナフォン」もユニークな製品として話題だ。
さらにIT界のトップブランドともいえるGoogleとの提携により、スマートフォンも開発中だ。イタリアで販売されている“JoY”こと「LG-KS10」は、Simbian OSを搭載したフルブラウジングが可能なスマートフォンだ。
LG電子は3月にGoogleとの提携を発表したが、その際の予告どおり「Google Search」「Gmail」「Google Map」といった機能がJoYに搭載されている。LG電子によるとGoogleサービスを搭載したLG端末は、2007年内だけで10以上登場する予定であるという。
LG電子は2006年6月、全ての製品とサービスをデザイン中心に開発するという「デザイン経営」宣言を行っている。これは、技術に合わせるだけのデザインを脱皮し、最初からデザインに焦点を当てた商品企画や設計、マーケティングなどを行うだけでなく、広告、ショップディスプレイ、サービスにいたるまで、すべてをデザイン中心で行っていく経営方針だ。この方針の下、「もっとも売れる(Best Selling)「もっとも高級な(Most Advanced)」「世界初の(World First)」という3つを実現した製品作りに注力している。
デザイナー育成のために海外の大学や企業と提携した教育を行っているほか、現在500人いるデザイナーを2010年までに700人に増やすなど、人材確保にも熱心だ。こうした経営方針がLG電子のデザインを支えているといえるだろう。
ただし、LG電子がデザイン経営宣言を行ってからまだ約1年しか経っていない。人材が成熟してくるのはこれからであり、今後さらに斬新かつ優れたデザインの携帯電話が、LG電子から生み出されるだろう。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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