“MADE IN 大和郡山”が意味するシャープのスマートフォン戦略

» 2007年06月07日 16時08分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
photo “MADE IN 大和郡山”を掲げるシャープの松本雅史副社長

 “MADE IN ヤマト”──シャープは6月7日、ウィルコム向けの新スマートフォン「Advanced/W-ZERO3[es]」を投入すると発表した。

 従来機「W-ZERO3[es]」(2006年7月発売)から、さらに小型化を実現し、昨今のスマートフォンに求められる携帯電話・PC・スマートフォンそれぞれの機能の操作感、表示能力、CPU速度、メモリ容量、通信速度のさらなる向上を図った。パケット通信料金を定額とするウィルコムのデータ定額プランのメリットとともに、閉じると「ジャストサイズケータイ」、開くと「ネットワークパソコン」のキャッチフレーズで国内市場にアピールしたい考え。通話にも適するスタイルも提案するウィルコム向け端末だけに、イー・モバイルの同じくシャープ製のWindows Mobile搭載端末「EM・ONE」とは、サイズはもちろん、コンセプトもかなり違う方向性だったことにも驚かされた。

 シャープ代表取締役副社長の松本雅史氏は、このAdvanced/W-ZERO3[es]を「MADE IN 大和郡山だ」とアピールする。同社は、液晶テレビ工場として知られる“亀山”など、工場拠点地名をブランド化してアピールする方法はよく知られるが、今回の“大和郡山”もその1つとして打ち出すようだ。Advanced/W-ZERO3[es]はこの大和郡山工場で製造されるという意味のほかに、大和郡山(やまとこおりやま)の地名──とくに“ヤマト”という言葉と“日本発”が濃く絡み合い、国内のスマートフォン市場をさらに牽引するような意味を込めたという。


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 「独自の液晶技術やエレクトロニクス技術をいかした、モバイルに適するハードウェアを製造するシャープと、高品質で定額の通信サービスを提供するウィルコム、モバイルに適したプラットフォームを提供するマイクロソフト、この3社で手を組み、国内のスマートフォン市場をさらに拡大していきたい」(松本氏)

 製造メーカーは、液晶パネルなどのデバイス部門と機器と連携する“縦の融合”で商品を製造する。シャープはこの縦の融合のほかに「部門商品間とも連携して新しい市場を創出する“横の融合”も推進してきたのが強み」と松本氏は述べる。情報部門のPC、AV部門のテレビ、通信部門の携帯電話から、例えば情報とAV部門の連携でインターネットAQUOSが、そして情報と通信部門の連携でW-ZERO3が生まれた。

photophoto 2005年12月、W-ZERO3で国内のスマートフォン市場を創出し、2006年7月、W-ZERO3[es]で市場をさらに拡大させた
photo 国内のスマートフォン市場のうち、W-ZERO3シリーズの占める割合は8割以上に上るという

 市場をみずから創出し、さらなる追加投入で市場を拡大──2005年12月発売のW-ZERO3以来、NTTドコモやソフトバンクモバイルがスマートフォン端末を投入、新規キャリアのイー・モバイルもWindows Mobile搭載端末、そしてKDDIまでスマートフォン市場に参入する方針を明らかにしたことからも、今後の市場規模拡大はそれとなく想像できる。国内の携帯・PHSキャリアすべてに端末を納入し、2005年から2年連続でメーカー別端末販売台数シェアトップを獲得する同社の強さの理由はこのようなところにも表れているといえそうだ。

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